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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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青空の、タマへの”挑発”という非難

〈青空の、タマへの”挑発”という非難〉

【ソラ】

「巫女ちゃんも見切りをつけられるよね?これがタマの正体」

【ソラ】

「『明け』の明星の為なら誰もが犠牲を払うべきだと本気で思ってるんだから」

【ソラ】

「正当化するのは自由だけど、魅せる部分と見せられない部分をちゃんと弁えてくれなくちゃ元も子もないって話だよ」

【ソラ】

「よりによって、旅が始まる前にとんずらしちゃうし。後ろ盾を失った今」

【ソラ】

「神代から出られないんだよッ!?いつ大学ここから締め出されてもおかしくないんだよッ!?」

【ソラ】

「裏神代の許可が下りるかは今や問題じゃない」

【ソラ】

「ねぇ、巫女ちゃん。ちゃんと飲み込めてる?私達の置かれた状況」

【カズ】

「うるせぇぞ青空」

【ソラ】

「タマは全てを統率すべき最高責任者の気持ちを悪用した。れっきとした犯罪者だってことをッ!」

【カズ】

「黙れ青空ッ!黙れッ!少し……黙っててくれ。頼むから……」

【タマ】

「……もっと貶してくれ」

【カズ】

「タマ……?」

【ソラ】

「当たり前だよッ!私の時と違ってこの現実は冗談じゃ済まされないッ!必然の報いを受けるべきッ!」

【ソラ】

「あのさ~、どこを目指して綱渡りしてたか知らないけど、少なくとも私達じゃなかったってことだよね?」

【ソラ】

「境界線上を我が物顔で闊歩できなかったタマを認めるってことだよね?」

【ソラ】

「結局タマは、『明け』の明星を目指す方が性に合ってるんだよ」

【カズ】

「ヤメろって言ってんだろッ!!本気で、怒るぞ?」

【ソラ】

「いいよ。怒れば」

【ソラ】

「逆に、怒らない巫女ちゃんの方がどうかしてるんじゃない?」

【カズ】

「なんだと……」

【ソラ】

「間違いなく早まったね。寿命は縮まった」

【カズ】

「……はっきり言えよ。この期に及んで遠慮なんかするな。何が早まった?」

【ソラ】

「バラバラになるまでの時間」

【カズ】

「くッ!青空ッ!てめぇよくも――ッ!!」

【タマ】

「……間違ったら直せばいい。誰だって過ちを犯す」

【タマ】

「……悪いと思ったらお前らだって正すだろ?」

【タマ】

「……あたしは落ちぶれてないよ。ちっとも」

【カズ】

「……いい。お前は出てこなくて。しばらくそうして強がってろ」

【タマ】

「……なんだ。どうしたんだカズ。何を……」

【カズ】

「片想いを利用しないって言えるのかよ」

【カズ】

「お前こそ本性剥き出しじゃねぇか。すぐ弱みにつけ込む。タマと何ら変わらん」

【ソラ】

「知ってしまったんだから責めるしかないでしょ?知らなかったらこうはならなかった」

【カズ】

「知らせたタマが悪いと?大した屁理屈だなおい」

【ソラ】

「主人公同士のいざこざなんてそんなもんだよ。醜いったらありゃしない」

【カズ】

「今言ったな?だったら貶すな。見せたくねぇんなら」

【ソラ】

「い、いや私はただ、この先のことを考えて、あえて衝突するのも肝要かと思ってただけで、邪な――」

【ソラ】

「タマは乗ってこなかった。それが現実。本当にそれだけ」

【カズ】

「………」

【カズ】

「まぁそういうことにしてやる」

【タマ】

「………」

【ソラ】

「………」

【カズ】

「ふぅ~」

【カズ】

「お前らといると、必ず何かあって楽し過ぎんだよ。少しは休ませろ」

【カズ】

「タマが性を押し殺すのは、バイオリズムを守ろうとするのは、外部からの変化を一切遮断する為」

【カズ】

「生かされない為で、自分のようにハンパな葛藤で生きてこなかったんだ」

【カズ】

「でも。でもな、それは今までのタマであってこれからはどうかな」

【カズ】

「積もりに積もらせた多額のツケをさ、今更きっちり清算できるとは思えねぇ」

【カズ】

「せめて、償いという形で返せるとしたら自分も何だってする……」

【カズ】

「……だからもう、もういいんだタマ。もう走らなくたって。誰も追いつけやしない。そこまで求めなくても、お前なら『明け』の明星になれるって……」

【タマ】

「……有って生きてるとみなされるならば、あたしはあたしの性を認める」

【タマ】

「……生きることで生きてるとみなされるならば、あたしはあたしの性を認める」

【タマ】

「……変化で生きてるとみなされるならば、あたしはあたしによって引き起こされる変化だけを求めてると反論する」

【タマ】

「……カズの言ったとおり、外部からの変化であたしは生きてないと、」

【タマ】

「……そう思ってた。そう信じてた。だけど、」

【タマ】

「こうなるんだったら出逢いたくなかったッ!」

【タマ】

「……カズ。お願いだよ。お願い」

【タマ】

「……矛盾は天然なのか?それとも駆け引きなのか?」

【タマ】

「……お前はあたしを明けの明星にしたいのか?お前はあたしを生かされる側にしたいのか?」

【タマ】

「……どっちなんだよ。否定してくれよ……どっちでもいいからさ」

【カズ】

「タマ」

【カズ】

「そこはな、”我慢”なんだよ。何が割って入ってこようと」

【タマ】

「……どうして?あたしはさんざん教えてやったのに。どうしてお前は答えをはぐらかすんだよ」

【タマ】

「……そっか。そうだよな。あたし自身の不注意で境界線上から転落したんだもんな。道理だ」

【カズ】

「ばかぁ。そこまでにしとけ。あんまり自分をイジメ過ぎんな」

【タマ】

「………」

【カズ】

「行くぞ青空」

【ソラ】

「……へ?行くってどこに?」

【カズ】

「どこでもいい。今は孤独にしてやれ」

【ソラ】

「強気にも程があるって」

【カズ】

「そう思うのはタマと同類だからか?」

【ソラ】

「え?」

【カズ】

「これでいいんだ。これで」

【カズ】

「考えてもお前には解んねぇよ」

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