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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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タマの構想1

〈タマの構想1〉6月16日水曜日

【カズ】

「……っと。何だお前か。脅かすなよ」

【タマ】

「……引きこもり生活から脱却できたんだな」

【カズ】

「あぁん?昨日常会に出席してただろうが。明けて早々皮肉とはな。勘弁してくれ」

【タマ】

「……話がある。少し付き合えよ」

【カズ】

「一緒に大学行かないか。だろ?自分じゃなかったら完全にひかれてる言動だぞ。ったく」

【タマ】

「……どうでも」


【カズ】

「話があるのはこっちだってのッ!」

【タマ】

「……常会が終わった途端、用事があると言って帰ったお前が悪い」

【カズ】

「そりゃお前らだろうが~ッ!」

【カズ】

「……そう。そのお前ら。お前らの拙過ぎるやりとりに暗号や隠語をにおわす言葉なんてなかったと思うが?一体どうなってんだい」

【タマ】

「……どうしてあたしに訊くんだよ。伝えたいのはソラだろ」

【カズ】

「台本棒読みじゃ威厳を持たせられねぇ」

【カズ】

「尊敬させて敵わないと思わせたくても、お前らがいつまでも意地を張り合っていたら創れる現実も創れない」

【タマ】

「(……創れなくしたのはどこの誰だよ)」

【カズ】

「何より自分の護り方がなっちゃいねぇ。いつか自滅する」

【タマ】

「……言わせておけば。止めどなくあふれてくるな」

【タマ】

「……ご不満なら自信を持たせた方がよかったか?弱みに付け込ませ、そこに罠を張れば満足したのか?」

【タマ】

「……ソラはともかく、あたしは主人公をやってない」

【タマ】

「……否定はできないんだ」

【カズ】

「………」

【カズ】

「……左様で御座いますか。今後もお好きなように♪」

【タマ】

「……そんなに嬉しいのか?あたしが今日からお前の家に寄宿することが……」

【カズ】

「……はいはい。仰せのままに」

【カズ】

「んで、次は何を企んでる?」

【タマ】

「……昨日まであれだけ出しゃばったんだ。自分に休養を与えたいだけだよ」

【カズ】

「フッ……はは」

【カズ】

「お前が休みたいだと?せめてお昼まで待てなかったのかよ」

【タマ】

「………」

【タマ】

「……とっとと終わらせよう」

【カズ】

「ん?前期末課題のことか?んなもんとっくに終わっとる」

【カズ】

「三日間は短縮できたんじゃないか。褒め言葉の代わりに教えてくれや」

【タマ】

「……どうして三日間だと?」

【カズ】

「そんなもんだろ。お前とやってやりゃ」

【タマ】

「……自分だけでコツコツと取り組んでいたのか?」

【カズ】

「少しでもお前らを煩わせないように――って質問ばっかだな」

【タマ】

「……悪いカズ。今思い出した。良い知らせが2つあるんだ」

【カズ】

「もう一つの間違いじゃないのか?」

【タマ】

「……すまない。繰り返したか」

【カズ】

「繰り返す?何の話だ」

【タマ】

「……気にするな。それよりソラが来週からサークルに参加しろってさ。よかったなかまえてもらえて」

【カズ】

「……わ、わかったッ!旅先を決めるんだな。そうだろ~?タマ」

【タマ】

「………」

【タマ】

「……喜んでないで行くぞ。遅刻したら水の泡だ」

【カズ】

「……し、瞬間使うなッ!一緒に行くんじゃなかったのかよ……やろう」

【カズ】

「『……お、おいッ!』」

【タマ】

「『……普段に比べたらまだマシな方だ』」

【カズ】

「『お前じゃなかったら乱れまくりだな』」

【タマ】

「『……なぁカズ。お前さ……』」

【タマ】

「『………』」

【カズ】

「『なんだよ。タメを作るなんてお前らしくもねぇ』」

【タマ】

「『……いつ弱音を吐いてもいいんだぞ?』」

【カズ】

「『ッ!?』」

【タマ】

「『……よくやってる。この大学のレベルからして、今お前がここにいるのは奇跡に近い』」

【カズ】

「『そ、そりゃお前らがいるからだ。お前らがいれば、自分は目の前のモノを信じられる』」

【タマ】

「『……でも限界はある。ちっとも進んでないんだろ?前期末課題』」

【カズ】

「『き、期限がまだ先だから触ってないだけで、今は直前のレポート課題を優先的にやってるッ!提出し終えたら取り組む気でいた』」

【タマ】

「『……無理だ。またすぐ課題が出されるのに。全く解決策になってない』」

【カズ】

「『う、うるせぇなッ!精一杯やってんだ。この方法が自分にとって一番の最善策なんだ』」

【タマ】

「『……だから、よくやってると言っただろう。そうムキになるな』」

【カズ】

「『………』」

【タマ】

「『……そうだ。それでいい。焦りも、慌てる必要も全く無い。身も心も滅ぼすだけだ』」

【カズ】

「『まだ何か……言いたそうだな?』」

【タマ】

「『……もう、自分で自分を護ってやる必要は無いんだ。お前には、ソラとあたしがいる』」

【カズ】

「『……くッ!?』」

【タマ】

「『……やめてくれッ!お前もあたしたちを護るんだぞッ!?』」

【カズ】

「『わ、わかってるよッ!』」

【タマ】

「『……今回もあたしが面倒みてやる。とっとと終わらせようカズ』」

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