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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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七草(ななくさ) 華美(はなみ)

七草ななくさ 華美はなみ〉6月12日土曜日

高等上級の年、1月1日。

七草華美という女の子と始めて出会った日だ。

【巫太郎】

「ついにこの瞬間が訪れた」

【巫太郎】

「これが……これが帝桜学園。生で見ると、また随分プライドが高そうな門構えだなこりゃ……」

【巫太郎】

「……あぁん?警告するって?」

【巫太郎】

「馬鹿言え。立入禁止条例が何だ。俺は法を破りに来た」

【巫太郎】

「事情聴取程度で済む話じゃない?甘く考えてるのはそっちの方だろ」

【巫太郎】

「償いでチャラにできるなんて贅沢過ぎるんだよッ!」

【巫太郎】

「まあいいや。過ちを犯しても償わせてくれるんだから、こちとら喜んで利用させてもらうッ!」

【帝桜学園男子生徒】

「………」

【巫太郎】

「今日は元旦だぞッ!元旦ッ!」

【巫太郎】

「……にも関わらず登校とは感心させられるなぁ~」

【巫太郎】

「といってもどうせ、勉学か部活動の類なんだろうよぉ~?なぁ兄弟」

【帝桜学園男子生徒】

「違います」

【帝桜学園男子生徒】

「足を踏み入れれば一目瞭然ですよ。桜麗学園の神童くん」


【帝桜学園男子生徒】

「着きました。正面玄関です」

【巫太郎】

「……はは。もしかして喧嘩売ってる?生憎、男に用はねぇんだ」

【帝桜学園男子生徒】

「あの集団の奥に行けば望んだ答えが手に入ります」

【巫太郎】

「本当かねぇ~。てぐすねひいて待ってたりとかは……」

【帝桜学園男子生徒】

「男の子が群がるとしたら?女の子が群がるとしたら?」

【帝桜学園男子生徒】

「……イメージしやすいと思いますが」

【巫太郎】

「急がば回れって文法的にいえば矛盾してるけど、本当は真理なんだよな」


【巫太郎】

「サイドから攻めてセンタリング。と思いきや、そのクロスボールがそのままゴールネットに吸い込まれ……ん?」

【???】

「ごめんなさい。今日はちょっと……」

【男子生徒】

「……もうすぐ卒業してしまうんですね。華美さんがいてこその帝桜学園なのに。完全に僕の力不足です」

【巫太郎】

「……ひょっとして番長のお出まし?」

【???】

「な~んだ~ぁッ!」

【???】

「もうッ!そんなところにいたのォ~ッ!」

【巫太郎】

「ほえ?」

【???】

「お願い。走ってッ!」


【???】

「はぁはぁ……ごめんなさい。巻き込んじゃって」

【華美】

「紹介が後になってしまってごめんなさい。私は帝桜学園3年の七草華美です」

【華美】

「桜麗町の、神童くんですよね?その顔にその格好。ポスターのまん――噂は私の耳にも届いてますよ」

【巫太郎】

「いえいえ、当然のことです。ご丁寧に自己紹介までしてくれて。しかも桜麗町の“顔”とまで言われちゃあねぇッ!」

【巫太郎】

「初対面でこの好印象。これは所謂――」

【華美】

「テストはいつも満点で、運動神経も抜群。その他何をやらせてもいとも簡単にやり遂げる類まれな才能の持ち主で」

【巫太郎】

「ふむふむ。それは喜ばしい話だ」

【華美】

「あるけど、喧嘩好きと女好きで評判はガタ落ち↓」

【巫太郎】

「かぁ~~ッ!悲しいねぇ~」

【華美】

「でも、カッコイイッ!」

【巫太郎】

「ありがとう。君は男の嬲り方をよく知ってる」

【華美】

「な、なぶり……?」

【巫太郎】

「またまたッ!おいたが過ぎますってば」

【華美】

「私の心は難攻不落です」

【巫太郎】

「言うね~。ご褒美にい~こ♪い~こ♪」

【華美】

「……はは、噂どおりですね」

【華美】

「他を当たるべきです」

【巫太郎】

「手前、質問がありますですッ!」

【巫太郎】

「どんな学園生活を過ごされているんでしょうか?」

【巫太郎】

「普通の学園生活が送れない。そうじゃなかろうて?」

【華美】

「その気が無ければ小馬鹿にしたところで、騙したところで嫌われるだけ、なんですよ?」

【華美】

「代わりに伝えておきますけど、必ずしも直結はしないんです。なびきはしないんです」

【巫太郎】

「お、オォッ!」

【巫太郎】

「ペーパー評価はいつも一番で、足も速い。意志もしっかりしていて、何かと頼られる一面もお持ちのようで」

【巫太郎】

「しかも、容姿と体型が揃いも揃って後押しする」

【巫太郎】

「は、華美ちゃんは帝桜学園のアイドルだったんですか……」

【華美】

「……違います」

【巫太郎】

「うんうん。ちゃんと否定するところがまた謙虚でいい。過去形にも一切触れず、俺とは大違いだ」

【巫太郎】

「華美ちゃんとはもっと早い時期に会いたかったなぁ」

【華美】

「後悔ですか?こっちはまたどこかで会いそうな気がして夜も眠れなくなりますけど……」

【巫太郎】

「俺もそう思う。人間の恋愛は」

【華美】

「………」


高等上級の年、1月13日。

巫太郎は華美を帝麗祭にご招待するべく、帝桜学園の学園長室に乗り込んでいた。

同時刻、華美も巫太郎に面会しようと、桜麗学園に足を運んでいた。

二人はすぐ思った。

この行き違いは単なる偶然ではないと。

まるで磁石のような原理関係。

二人はようやく納得した。

巫太郎は待ち続けた。

華美は想像以上に強情だった。

そして二人は再会する。

華美は単刀直入に話を切り出した。

私のボディガードをして欲しい。

その依存に巫太郎は唇の潤いを失いかけていた。

他に寄らず全て自分で結果を出してきた華美にとっていつかは直面するターニングポイント。

後回しにするのではなく今にする予定だった。

巫太郎が、事前に用意していた駆け引きは徒労から悩みへと変わったのだった……。


思い返せば、整理することが書き始める前の大前提であった。

キーワードは”恋愛”と”依存”

まず後者でいえば、依存してもいいのか。それとも依存は嫌いなのか。

それで展開の方向性が全く変わってくる。

だが実際にしていて、性を揺るがすほどの影響はないと判断。状況に一番見合った選択をする女の子だと自分は結論付けた。

反射的に求めた自分を、認めたくないから開き直ったわけでもないようだ。

事情を訊けば、大学の推薦は決まり、生徒会長を務めていた経緯から、どうしても顔を出す必要があったと言う。

同行すれば、男子生徒が近寄ってこないと考えたのだろう。

もっともな理由にもっともな選択だっただけに、隙入る余地がなくてよかった。

前者を除いては。

というのも、華美は”恋愛”という存在に対し、微かな反応を示していた。

つまり何かしらの希望を抱いているということ。

それがどんな理想にせよ、納得できる情報ネタが揃った。

オチは何かのきっかけになる。

巫太郎と同等の能力を持つと思われる華美のバイオリズムを陥落させるには、明確的な違いである性と性別を旨く利用する。

自分は後者に重点を置いた。

男をやってるなら――。

女をやってるなら――。

入れ替えたらどうなるだろう?

誰でも一度は現実を疑うと仮定したならば、思春期と反抗期をセットにして奇襲を掛ける。

心身共に、すっかり”女”に浸っていた華美が、異性の裏事情を知ったところで今更適応しきれない。

自分の欲求を満たしきれなくなる。

さあ決めてもらおう。

そして創り始めてもらおう。

大人への、美しき人生を……。

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