小比類巻(こひるいまき) 募丹(ぼたん)
〈小比類巻 募丹〉5月30日日曜日
『
【巫太郎】
「………」
【巫太郎】
「……新手の嫌がらせか?」
人気が全く無い元旦の桜麗商店街。
それは決して、不景気に便乗して店じまいしたからではない。
コギ、コギ、コギ――。
【???】
「女漁りなら帝桜通りに行きな」
【???】
「………」
【巫太郎】
「………」
【巫太郎】
「……誰です?あなたは」
車椅子に腰掛けた女の子が、誇らしげにこちらを見上げていた。
【巫太郎】
「も、もしかして救世主ッ!?俺のための?女神様……ですか???」
いきなりの登場に、すぐ目線を合わせられなかった俺は、その失態を隠すかのように顔を近付けて問い詰めるのだった。
【車椅子に腰掛ける女の子】
「……馴れ馴れしいんだって」
【車椅子に腰掛ける女の子】
「一応、桜麗学園の生徒なんですけど……まさか、見覚えがないとか?」
【巫太郎】
「ッ!?」
思わず、睨みつけてしまった。
これは”反逆の美少年”という異名を持つ神童巫太郎への挑戦状なんだと。
【巫太郎】
「あるに決まっておろう。キミは下級生……つまり、1年生だね」
【車椅子に腰掛ける女の子】
「……2年」
【巫太郎】
「名前は早乙女雪乃ちゃん♪」
【募丹】
「……募丹」
【巫太郎】
「そうそう、2年生の募丹ちゃんだったね。今思い出した」
【募丹】
「………」
【巫太郎】
「……言い訳は認めるよ。認めます。ごめんなさい」
【巫太郎】
「でもどうか、どうか寛大な処置を賜りたく今後の拝謁のために何卒♪」
【募丹】
「………」
【募丹】
「……信じらんない。女の子をナメてるの?」
【募丹】
「お兄ちゃんが心配するといけないんで。ついてくんなよ、神童先輩」
コギ、コギ、コギ――。
【巫太郎】
「………」
【巫太郎】
「……ありゃありゃ、まーたヘマしちまったか」
【巫太郎】
「しゃーね。ここは帝桜通りに出向いて、もっと知名度を上げるに限るな」
』
【カズ】
「くっくっくっ……懐かしい。懐かしいぜまったく……」
【カズ】
「懐かし過ぎて……どうにかなっちまうよホント……」
【カズ】
「要点だけに留めておくべきか……これ以上の掘り下げはちっとヤバい……」
【カズ】
「……現実は特に」
車椅子の女の子 小比類巻 募丹。
五右衛門の妹だ。
身長155cm。誕生日は9月23日。
出会ってたった2週間の観察だった。
特別扱いされることを頑なに拒み、ノーマライゼーションを求めてるのかのように見えた。
自分はそう判断した。
とくれば、どんな理由があって、車椅子の生活を強いられることになったのか。
またそれは、病気からなのか。歩くことができないからなのか。
そしてそれは、治るのか。治らないのか。
手にした情報も参考に、組み合わせとある程度の展開がまとまった段階で、自分はペンを持ち始めた。
桜麗学園の高等中級と、最初の出会いで言ってはいたが、それは全くの嘘。彼女はどこの高等にも属していなかった。
それは後から知ったのではなく、神童巫太郎が出会った女の子の情報は全て持ち合わせていたから確信できた。
できなかったのは、帝麗祭前日に本人の口から嘘であったと謝られたこと。
その日、彼女は浮かない表情を浮かべていた。
制服の盗難に遭い、帝麗祭に行けなくなったと嘆いていたのだ。
首を長くして待っていたはずの絶好のシチュエーションだったが、巫太郎は返答を避けた。
『俺の制服でも着てみる?』
こうして、1月13日は終わりを告げたのだった……。
~流れ~
・学校に行ってない→学校を作って行かせる
・歩くことができない→歩けるようにする
~梗概~
帝麗祭当日、巫太郎は募丹に手作り制服をプレゼントする。
成り行きで一緒に回ることになった巫太郎の審美しない言動に、募丹は本当のバイオリズムを崩し始める。
巫太郎は次の一手と、桜麗学園に無断で夜間部を作ろうと画策する。
手始めに兄である五右衛門の許可を得て、その後順々に役仲間を増やしていく。
【カズ】
「くっくっくっ。確か神童学園だっけ?今思えば笑っちまうよなぁ……」
役者と舞台が整えば、残るは起承転結を経てクライマックスを迎えるだけ。
もちろん、受け手が気に入るお決まりの展開での、ハッピーエンドをご用意して。




