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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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”ヒーロー”は創らせないルール

〈”ヒーロー”は創らせないルール〉5月27日木曜日

【???】

「カズさん、ですね?」

【カズ】

「……またマスコミか。ノーコメントで」

【???】

「ではないと否定したら?」

【カズ】

「………」

【警察官】

「ちょっと宜しいですか」

【???】

「その前に提示をお願いできますか」

【警察官】

「これで納得かな」

【???】

「……その阿吽のリズムは正気とは思えない。出直すとしますか」

【カズ】

「………」

【警察官】

「やれやれ……大丈夫ですか?」

【カズ】

「持ってますね」

【警察官】

「は?」

【警察官】

「何事も無くてよかった。では」

【カズ】

「待って下さい」

【警察官】

「何だね?」

【カズ】

「いいぞ忍。戻ってこーい」

【忍】

「……ごめんね神童さん。神童くんがどうしても確かめたいって言うから久しぶりに共謀しちゃった」

【カズ】

「お前は最初から、タマではなく、自分の警護兼秘書をしていた。やっとこさ合点がいったよ」

【ソラ】

「ん~。タマの言うとおりかも。巫女ちゃんって本当は優等?」

【忍】

「それはともかく今回は神童さんの勝ちかな」

【カズ】

「……はは、やっぱり?」

【ソラ】

「神代では勝てん。どうあがいても譲れん。私は部長。君は部員。各々自分の役を演じよう」

【ソラ】

「それでですね……今日はこれからその部長が主催する勉強会の予定が入っております。欠席なさいますか?」

【カズ】

「……強気だな。まさか断れないとでも?」

【カズ】

「欠席でッ!帰ってレポートやんだよ」

【ソラ】

「好都合。一緒にやろうよ。私は巫女ちゃんをお守りする義務がある」

【カズ】

「んなもんねぇ」

【ソラ】

「そりゃそうだ。じゃあこうしよう。試験の最中ずっと、巫女ちゃんが私を護ってくれた♪そのお返しということで」

【カズ】

「いや、護った覚えねぇし」

【ソラ】

「誰もが言葉を借りてさ、平然と使ってるけど、その意味は認識によって異なってくるから、ほとんど無意味に等しいんだよねぇ~」

【ソラ】

「何で使うんだろうねぇ~」

【ソラ】

「私だったら――」

【カズ】

「……それって今話すことか?」

【ソラ】

「違うね」

【カズ】

「……わかった。出席する。出席すればいいんだろ」


【カズ】

「……しっかし、お前ん家は相変わらず教授の研究室みたいな部屋だな」

【ソラ】

「さっきの話に戻るけど、進み具合はどうなん?」

【カズ】

「なんでぇ。本当は気にしてんのか。提出期限には何とか間に合うだろ」

【カズ】

「さっさと終わらせよう」

【ソラ】

「始めに言っとくと、大抵の警察官は規則に忠実だということ」

【カズ】

「……ったく、どんな勉強会だよ」

【ソラ】

「現実が”ヒーロー”は創らせないルールを採用してることに、もっと感謝すべきだと言ってるの。何かは有るんだからそれを上回る利用方法を常に考えなきゃ」

【ソラ】

「所詮、何かで紛らわせてる連中には理解できないよ。というよりしなくていい。時間の無駄」

【ソラ】

「本当のプロはね、プランに無いことはしない。新たに行動を起こすことは破滅に直結するから」

【カズ】

「………」

【カズ】

「んじゃあどうすんだ。仮に捕まえる側がピースをはめ始めたら、そのプロとやらは何もしない気か?」

【ソラ】

「巫女ちゃんならどうする?そのまま計画を続行する?それとも退く?」

【カズ】

「そんな立場に立ったこともねぇからわからないねぇ~」

【ソラ】

「私達以外なら退くべき」

【カズ】

「あっそ」

【ソラ】

「タマの選択が、私も巫女ちゃんも四六時中監視下に置かれる原因になった」

【ソラ】

「ここで問題です」

【ソラ】

「表舞台に出ました。監視されてます。でも何もしません。目的は成功させますが。さて、その方法は?」

【カズ】

「最近のお前の話の持っていき方は、どうも魔王のにおいがプンプンしていけねぇや」

【ソラ】

「いてッ!」

【カズ】

「痛くねぇだろ。んなことより少し冷静になれっての」

【ソラ】

「もしかして怒った?」

【カズ】

「怒った怒った」

【ソラ】

「ならもっと怒らせていい?」

【カズ】

「……何だお前。今のは前置きだったのか。んで、今度は何をやらかした?」

【ソラ】

「いやいや、勉強会が続くだけ♪」

【カズ】

「……んん~、その展開は予想してなかった。てっきりいつものパターンかと」


【ソラ】

「警察がある組織の存在を確認しました。一つの手掛かりを辿ってみると、地域まで絞ることができました。次にやることは?」

【カズ】

「特定の為にあらゆる手段を講じる?」

【ソラ】

「その結果、アジトが特定されました。すぐさま、踏み込むと思う?」

【カズ】

「危機的状況なら踏み込むし、踏み込まないとしたら何らかの障害があってのことだろうよ」

【ソラ】

「そうだね。警察は一網打尽にしたいと思ってる。だからといって贅沢過ぎる欲は出さない」

【カズ】

「大人の対応じゃねぇか。公私共々立派立派」

【ソラ】

「余裕でしょ?」

【カズ】

「………」

【ソラ】

「ま、これはホンの一例に過ぎないけどね。にゃは♪」

【カズ】

「……納得するまで訊いてやる。この話題を自分に振って、一体何の意味がある?」

【ソラ】

「勉強会って言ったぢゃん。どう思うかは全て巫女ちゃん次第、だよ」

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