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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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本気と隣り合わせで生きてる主人公

〈本気と隣り合わせで生きてる主人公〉5月14日金曜日

【ソラ】

「ありゃ?」

【カズ】

「遅いッ!遅過ぎるぞ青空ッ!宵越しの狼狽を持たせる気かッ!?」

【ソラ】

「今日日誰も家に帰らないよ」

【カズ】

「この緊急時に冗談言ってる場合かぁッ!?自分達がタマを助けなくてどうするッ!?大至急方法を考えるぞ。一緒に」

【ソラ】

「うっちゃい」

【ソラ】

「私が警護兼秘書に任命されたといえば?答えは省略してもいいよね♪」

【カズ】

「お前が……?タマが……?」

【カズ】

「……どこまでいっても自分はそんなこと信じない」

【ソラ】

「心の鍵」

【カズ】

「何だと?」

【ソラ】

「預からせてもらってるから訊きに行こうか。巫女ちゃんを連れていけば不自然じゃない」

【カズ】

「………」

【カズ】

「ひとまずお前ん家で二次会といこうや」


【カズ】

「んでよ青空~」

【ソラ】

「なにさ?」

【カズ】

「ふと思ってみたら、こうして差しで話すなんて久しぶりじゃないか?場の雰囲気も上々。今宵は多くを語り合えそうだな」

【ソラ】

「………」

【カズ】

「……感情的になってるのは自分だけってか。まぁいい。それはそれで」

【カズ】

「タマが、自分を差し置いたことに不服は無い。お前の方が多方面に首尾よくこなせるし」

【ソラ】

「私だって忙しい。常にとはいかない」

【カズ】

「省略していい。そのまま続けてくれ」

【ソラ】

「組むからには互いにオープンにしとかないとね」

【カズ】

「終日営業って。裏で糸を引いてるのはプライドかよ」

【ソラ】

「そんなんじゃないって。知られたくなかったら鍵はしっかり閉めるし」

【カズ】

「単純に示しが付かないということか」

【ソラ】

「考え過ぎだよ。いざという時に力を貸せないぢゃん」

【カズ】

「拙い嘘はよせや」

【ソラ】

「ともかく、巫女ちゃんはこれまで通り蟄居していればいいよ。欲望を満たしたい時だけ外出すればいい」

【カズ】

「からかうのも大概にしろよ、青空」

【ソラ】

「幸いなことに、私はタマという名の政府関係者と知り合いなんだ。それを利用しない手はないと思うんだ」

【カズ】

「お零れを預かる性じゃねぇだろ。見え透いた負け惜しみはその辺にしとけって。じゃないと自分をコントロールできなくなるぞ」

【ソラ】

「……うん。ごもっとも。それじゃこれで終わりにする」

【ソラ】

「とんとん拍子に進んでは、仕舞いに神代を任されちゃってさ。いくら優等だからってジャンプ力あり過ぎなんだよ」

【カズ】

「認め……るんだな?自分では『明け』の明星になれないって」

【カズ】

「皮肉な出逢いって……本当にあるんだな。タイミングが悪過ぎた」

【ソラ】

「巫女ちゃんは何も解ってないッ!タマは何も『明け』の明星への足掛かりにするために橋渡し役を買って出たんじゃないッ!」

【カズ】

「もう言うなッ!青空ッ!」

【カズ】

「……有権者の支持は不可欠だ。結果さえ示せば問答無用で決まる」

【ソラ】

「タマは大学生……なんだよ?二足の草鞋を履くことは贅沢……過ぎるんだよ?」

【カズ】

「あぁんッ!?なに言ってんだ。あいつにとったら大学なんて最初から無意味だろ。それがお前でも、この絶好のチャンスに全てを捧げる。解り切ってる」

【ソラ】

「結果は成功する。でも頃合じゃないからあえてならない」

【カズ】

「ど……どういう意味だ?」

【ソラ】

「基準に達してもいないのに、創ってしまった現実を、そのまま鵜呑みにするのは劣等だけだってことだよ」

【カズ】

「馬鹿言え。意図的に鵜呑みも何もあるか。この現実は本気の証だ」

【ソラ】

「自ら退くことで布石を打てる。それは勇気じゃなく、道理。自負心と欲が邪魔するけど優等なら我慢できる」

【ソラ】

「今、本気って言ったよね?巫女ちゃん」

【カズ】

「だったらどうだってんだよ。言葉だけで論破できると思うな。お前が一番よく――」

【ソラ】

「私達は受験の最中さ、何度も魅せられてきたぢゃんか。憎たらしいまでに」

【ソラ】

「目標とか、闘志とか、誰かの為とか、そういう気持ちが原動力になって成長を促しては、実感させるから楽しくて、前途にどんどん光を見い出す主人公達を」

【ソラ】

「ネタは何でもいいんだ。自分の支えであるなら。でもね……」

【ソラ】

「どんな潜在能力ポテンシャルを隠し持っていても、本気と隣り合わせで生きてる主人公は、自分を満足させてしまったらそこで死を迎えてしまうんだよね」

【カズ】

「………」

【ソラ】

「……裏を返せば、脅かす存在は排除するしかないよね」

【カズ】

「青空」

【ソラ】

「ん?」

【カズ】

「劣等だから伝えられることがある」

【カズ】

「劣等は、どんな険しい道程を遂げても死を迎えない場合もある」

【ソラ】

「軌跡や原点をちゃんと持ってるからね」

【ソラ】

「新しい明けを――」

【カズ】

「無駄な忠告だったな」

【ソラ】

「ますますドジ踏めなくなっちゃったよ……」

【カズ】

「……で、タマはどうするつもりなんだ?無事にやり遂げたら」

【ソラ】

「大学にすぐ戻ってくるよ。って答えになってないや。特に変化も加えてないから」

【カズ】

「そんなに自分が重要かねぇ~」

【ソラ】

「うん」

【カズ】

「おい」

【ソラ】

「筋書きは出来てるよ~。彗星の如く現れた青二才は、神代にインパクトを与えたら、彗星の如く世間から姿を消すんだって」

【カズ】

「すぐだと?はは、あいつらしいというか。それでもほとぼりが冷めるのは時間を要すだろうな」

【カズ】

「よしわかった。帰るよ。心配は多少なりとも取り除かれた」

【カズ】

「お前なら安心してタマを任せられる。じゃあな」

【ソラ】

「………」

【ソラ】

「巫女ちゃん」

【カズ】

「……呼び止めんなよ。これ以上長居すると訊いちまうだろうが」

【ソラ】

「日曜日、一緒に外出しない?私が完全に取り除いてあげるから」

【カズ】

「………」

【カズ】

「言っとくが付き添いだからな」

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