卑怯者と影武者
〈卑怯者と影武者〉5月11日火曜日
【カズ】
「やっと出逢えたと思ったらお前らが一緒の部屋にいるって?どういう風の吹き回しだよ」
【カズ】
「防衛長官ってのはそこまでの障害なのか?」
【タマ】
「………」
【ソラ】
「おぉーッ!さすがは巫女ちゃん。何もしてなさそうに見えて、実は見えないところでちゃっかり情報を得ているんだね♪」
【タマ】
「……代償は裏切りだけどな。自首して自分だけ逃れようとしてる卑怯者」
【カズ】
「全否定はできねぇな」
【タマ】
「……ほら、当たった。尾行しなくても読める」
【ソラ】
「あらら、ゲロしちゃったか。でもこれですっきりしたね」
【カズ】
「お、お前らのそのリアクションで末恐ろしさが一気に吹っ飛んだよッ!」
【タマ】
「……知られて不都合とは思わない。知られたからって妨害もしない。動揺を隠しているわけでもなく」
【ソラ】
「計画に無い行動は命取りになるだけだからね。それこそズレが生じちゃう」
【カズ】
「らしくなってきたじゃねぇか。青空」
【ソラ】
「やっとこさ、自分に見合った言動ができる。境界線のすぐそばで生きられるからね」
【ソラ】
「やるよ私。とことん最期まで。精一杯、やる」
【タマ】
「……何をやるかはあえて秘密にしておく――んだから訊くなよ卑怯者」
【カズ】
「お前がな」
【タマ】
「……悪い。質問は何だった?」
【カズ】
「自分が知ってる最高責任者は影武者なのか?」
【ソラ&タマ】
「……うん」
【カズ】
「………」
【タマ】
「……今の気持ちに落ち着いて向き合えばすぐ合致する」
【カズ】
「ち、ちょっと待てぇッ!」
【タマ】
「……いや待たない。先に言わせてもらう。この一カ月、お前からの質疑応答を受け付ける。それで手を打ってくれないか」
【ソラ】
「くっくっくっ、さすがはタマ。自惚れにも限界があるって」
【カズ】
「???」
【カズ】
「……全く飲み込めん。罠かもしれないからターゲットを変えさせてもらうぞ」
【カズ】
「おい青空。部長のお前がサークルをサボってどうする?見つかったら学長はでかく打って出るぞ」
【タマ】
「……安心しろ。退学にはできない。あたしが副部長でいる限りは」
【ソラ】
「いやいや、それなりの成果を示さないと私は納得しないって」
【ソラ】
「これでも一応部長なんで♪にゃは♪おめぇら、6月15日は空けとけよッ!なんちって♪」
【カズ】
「……落胆で訊くに訊けない。またいつもの青空に戻りやがった」




