学長講演
〈学長講演〉4月28日水曜日
【学長】
「神代で創った物語の中で生きているにも関わらず、さも自分が創ったように振る舞う現代は私にとって劣等極まりない」
【カズ】
「………」
行事予定に組まれていた新入生向けの学長講演は、入学式と同じ記念講堂で行われていた。
出席しなければ、即退学。
その脅迫はタマでさえ罷り通られ、出入り扉は開演30分前に閉ざされた。
学生にとって今日という日は、これで始まり、これで終わる。
明日は祝日が待ってる。おまけにその後すぐにGWが待ってる。
間隙が待ってる。
【学長】
「なりたくはないだろ?劣等に。だが実情は、この中の半分は現代を選択する。優等だけが生き残れる」
【学長】
「自分の努力に自信を持つのは大いに結構ッ!それでこそ生きてるッ!生きてる実感が湧くッ!」
【学長】
「誰もが神代で生まれ、神として生まれてきたのに、なぜわざわざ現代へ旅立とうするのか。私には到底理解し難い」
【学長】
「ここで君らに問おう。2番じゃイヤか?1番じゃないとダメか?本気でそう思うのなら時間を無駄にしないで欲しい……」
まるで神隠しに遭ったかのように、自分と青空だけがこの場に取り残されていた。
【学長】
「……この時間も」




