『対と三竦』(一部)
〈『対と三竦』(一部)〉
【???】
「『誰だろうと私達は気まぐれな生き物。それを特に顕著に表しているのは気持ち。でもその気持ちはどれも一時的に過ぎない』」
【???】
「『1秒後?1分後?1日後?1ヶ月後?1年後?10年後?100年後?どこにいても、その時の気持ちなんて忘れてる』」
【???】
「『揺るがない気持ちなんて存在しえない』」
【???】
「『だって、私達は生き物だもの。神代でも、現代でも、それはきっと同じ』」
【???】
「『それならその時の気持ちに素直に向き合おう。一つ目の自分ともう一つの自分。ケンカしないで素直に向き合ってね』」
【???】
「『その時感じた気持ちをたとえ忘れてしまっても、その紛れもない事実を否定することはしないから』」
【???】
「『だから、それまで生きていこう。死ぬという気持ちを感じるまでは』」
【???】
「『感じた後でも生きるという気持ちになったら生きていこう』」
【???】
「『これが私達気まぐれの生き方。ただし、プライドはどちらにも後押しするから気をつけて』」
【???】
「『仮の話。仮の話だよ。全く同じ状況が1歳の時と100歳の時に起きたとしよう』」
【???】
「『その時感じた気持ちは同じでありたいけど、難しいだろうな』」
【???】
「『なぜかって?それは私達が生きる道を選ぶから。変化は別の変化を生む』」
【???】
「『だから難しいの。わかって』」
【???】
「『だったら、もう話すことはないって?馬鹿だなぁ。それだと時計の針が永遠に止まったままじゃん』」
【???】
「『だって、私達は生きたいと思ったから生まれてきたんだよ?』」
【???】
「『……平行線のまま終われば、今の自分が永遠に続くかもしれないけど』」
【???】
「『誰もわかってくれないよ?それでもいいの?』」
【???】
「『そんなのイヤだな。やっぱり、知ってもらいたい。それが何であれ贅沢は言わないから』」
【???】
「『ねぇ、そろそろ歩み寄らない?私の存在意義のために。早く決めて、前に進もうよ』」
【???】
「『………』」
【???】
「『……あ~あ、今日も平行線のままか。一度黙り込んだらずっとだもんねあなたは。ちょっと休憩しよう』」
………。
……。
…。
【カズ】
「………」
タイトルとは無関係の出だし。
自己生成をどのように終え、今の自分に至ったかを自分なりに分析して、それを自分に訴えてる。
何をするにしても、手始めに自分のレベルを把握することが最優先される。
それから他を知ればいい。
自分は、タマをもっと知りたがってる。
【カズ】
「……ふぅ」
本を元の場所に戻す。
【カズ】
「この感覚。この気持ちは青空以来だなぁ……」
唯一自分も言えることが、タマが『明け』の明星コンクール高等の部優秀賞者ってことだ。
【カズ】
「……でもどうでもいい。そんなくだらん肩書きなんて」
【ソラ】
「こら、部員。同好会の活動サボってなにやってんだ。一日一日が生死に関わるんだぞ」
【カズ】
「……なんだお前か。見りゃわかるだろ。図書館で本読んでた」
【ソラ】
「なんでぇ、サボりじゃなかったんだ。んで、何か掴めたん?」
【カズ】
「あぁ、自分の気持ちはどうやら本物のようだ」
【カズ】
「……まったく、とんでもねぇヤツ紹介しやがって。自分がこんなに興味を持ったのお前以来だぜ」
【ソラ】
「さいですか」
そっけない態度の意味を考える意欲など、今の自分には無かった。
次の点が鮮明になった今、後は線をつなぐだけだ。
【カズ】
「面白くなるぞ」
【カズ】
「いや、面白くなるに決まってるッ!」
【ソラ】
「にっひっひ、旦那。まさか忘れてないでしょうね?今からでも拘束権を行使――」
【カズ】
「……それはタマが入部したらの話だろ。お前の言いなりになる権利なんてあるものか」
【ソラ】
「……さりげにハードル上げてるし」
【カズ】
「共同活動だ。それぐらいどうってこともないだろ」
【カズ】
「んじゃあな。また明日講義で」
今後どうすべきかを考えるべく、自分は早々にこの場を後にした。
【ソラ】
「………」
【ソラ】
「いっちったか……」
【ソラ】
「ま、いっか。私の思惑どおり事が運んでるし」
【ソラ】
「………」
【ソラ】
「……ふぅ~。言いなり、ねぇ~」
【ソラ】
「(いつだってそう。ネタを提供しないと、何も始められないお子ちゃまなんだから巫女ちゃんは)」
【ソラ】
「(その代わり、私を楽しませてね。そうだね、壊れるくらいを強く希望するかな)」
【ソラ】
「(でないと、すぐ見切りをつけていなくなるから)」




