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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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直談判

〈直談判〉4月17日土曜日

【学長】

「紹介ねぇ……でもそれは委員会や各々のサークルが定期的にすることじゃないでしょうか?」

赴いて早々、第一関門にぶち当たる。

自分は傍観者として、部長様がどう切り抜けるかじっくり見届けよう。

【学長】

「それに情報屋という名前がよくありません。予算も既に決まってますし」

問題点を重ねてくる。こちらとしては、ますます不利になるばかりだ。

【???】

「そうですね」

しかしコイツはそうですねの一点張り。

【学長】

「継続的な活動をして、はじめて部として、認めるか認めないか決めるのは知ってますよね?他の同好会に示しがつかない」

さあどうする気だ青空は?

【???】

「他にご指摘は?」

【学長】

「まぁ、今のところはそんなところでしょう」

【???】

「そうですか……ならッ!何の問題もありません。後は学長が承認するだけです」

いきなりの強気の態度は自信の表れからなんだろうが、誰にでも気分ってもんがあって、相手は学長でもある。

【???】

「最初のご指摘ですが、私達は何も、委員会やサークルの仕事を盗ろうという気は毛頭ありません」

【???】

「自ら紹介することも活動の一つですから」

【???】

「ただ、主観的、定期的では活動したタイトルだけが目立って、具体的な詳細までは紹介できないと思うんです」

【???】

「だから私達が日々の活動内容をきめ細やかに紹介していく。年1、2回では到底無理難題なことを……」

【???】

「……私達が代わってッ!」

雰囲気が先ほどまでとは、ガラッと変わる。

【???】

「内外問わず発信続けることは大学にとっても、そして委員会、サークルにとっても利があることだと思うんです」

【???】

「地域の方々との交流をより深めるきっかけになるかもしれませんし、もちろん発信内容には細心の注意を払います」

それからしばらく猪突猛進のごとく、青空は熱弁した。

発信する前には委員会やサークルの事前承認を頂くことだったり、活動内容を具体的に話していた。

上に居続けるということを常に意識しながら。

魂胆はこうだ。

最初に全て吐かせ、その後上に立って、下にならないよう今の状態を維持する。

どうしても下にならざるおえない弱みなんぞ、始めから持ち合わせてはいない。

途中で疑問点を投げかけられても、即答で応戦。

しかし、こうなることは学長クラスになれば事前に予測はつくはず。

学長の真意は解らない。

そこまで本気になる気がないだけなのか、話はどんどん進んでいく。

【???】

「サークルの名前ですが、変更すれば特に問題はありませんよね?あくまで私達は取材させて頂く立場であり、名前で活動はしません」

【???】

「予算に関しても特にこれといって必要ありません。必要な物は自分らで用意できますから」

確かに予算といっても、大学にある物を借りられるか、借りられないかだけで、(それなりに肝要ではあるが)特に問題はない。

【???】

「最後になりますが、始めから部でも同好会でも構いませんでした。活動さえできれば」

【???】

「もっとも、いきなり認めることは難しいでしょうから、活動許可が下りるまで気長に待つ覚悟はできています」

最後は言い切って、気持ちよく終わる。

それでいて、承認が難しくないことを踏んでの持っていき方だ。

完璧な流れになった。

これが、青空とつばめちゃんのやりとりなのかと思うと、とてもじゃないが信じられない。

思えば神童家勢揃いなのに、それを微塵も感じさせなかった。

【学長】

「……認めましょう。始めから本気度がわかれば、すぐにでも承認するつもりでした」

【学長】

「今日から活動を許可します」

やけにあっさりしてる。

不気味であるが、それでもしたり顔で堂々と活動できる。

【学長】

「ただし、今後の活動予定をレポート方式で、10枚以上の提出をお忘れなく」

【???】

「………」

【学長】

「期限はそうですね……明後日まで。明日はお休みですから」

【???】

「わかりました」

【???】

「よろしく♪」

ただ見てただけの傍観者は、部長から最初の活動を命じられるのだった……。

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