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圭太との会話 その1

自分の運命について考えていた拓海は、大学の食堂で友人と話す。そして、自分の就活が進んでいないことに気が付く

 拓海は翌日大学で一人で昨日のことを考えながら、昼食を食べていた。その日はいつになく食堂はがらっとしていて、白い机と椅子は、まるで使われなくなった教室の机のように整然と並べられていた。その机と椅子には、この世界の真上を通過した太陽の光が照射され、それぞれが影を形成していた。

 拓海が一人で思考をしようと試みていると、顔なじみの顔が向かい側の席に急に現れた。拓海はドキッとした。

「拓海、ここ座っていい?」

 それは大学で拓海が仲良くしていた圭太だった。圭太は薄いカーディガンから出た手でお盆を支えていた。

 お盆を机に置き、背負っていたバッグを椅子の背もたれにかけると、圭太は手早く箸を手に取り、ご飯に向かった。圭太は塩ラーメンだった。

 少しお互いが黙ってそれぞれのペースで食事を進めていると、圭太が話を切り出した。

「拓海ってさ。お前いつも一人で食堂でご飯食べてるよなぁ。」

「まぁ。」

「それでいて、昔にあったフランス革命や第二次世界大戦についても興味を寄せているじゃないか。」

「最近は就活で忙しくてあんまり勉強してないけどな。」

 圭太はやや冷ややかな意味を込めていった。

「拓海はなんかこの世界で起きていることなんて微塵も興味がないみたいだな。」

「それってどういう意味。」

「いや、なんでもない」

 圭太は何か言いたげだった。拓海は急に居心地が悪くなった。

「拓海。」

 拓海は顔を上げた。

「そういえば拓海はどこ就職しようとか決めた?」

 拓海の箸が止まった。

「商社とか考えてはいるよ。」

 すこし沈黙があった。拓海は思ってもいないことを言ったと思った。

 気まずくなった拓海は、我慢できずに圭太に聞いた。

「圭太こそどこに就職しようと思っているの?」

 圭太は少し難しそうな顔をしてこう言った。

「オレは官僚になるためにかなり準備を進めているよ。」

「そうなんだ。」

 拓海の顔は少し暗くなった。何の準備もしていない自分に引け目を感じた。

 窓の外にはコートを着た学生が歩いていた。

 よく見ると圭太は少し優しい顔つきに代わっていた。

 何か察したように言った。

「なんか次の授業一緒にさぼらない?なんか俺授業なんてどうでもいい気がしてきた笑」

 急な提案に拓海は戸惑った。

「それに、」

 少し言葉を言うのをためらいながらこう言った。

「実はオレ、拓海と話したかったんだ。」

 拓海にとってその言葉には意外な響きがあった。

「実はオレ、官僚として生きていくことになぜか納得がいかないんだ。」

「オレは世の中について興味が全くない拓海が一番理解してくれる気がしたんだ。」

 拓海は呆然としていた。圭太の顔にははっきりとした迷いがあった。


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