青年の夢 自由と鳥
拓海は家に戻っていた。家は静かだった。拓海の母親はどこかに出かけていた。
拓海は英単語帳を開いた。単語帳に乗っている英単語を一つ一つ、ぼんやりと上から下へと眺めていった。そして、次のページを開いて、次に出てくる単語をまたぼんやりと眺めた。
拓海は天井を眺めた。そしてゆっくり視線をデスクに戻していった。
拓海は英語を学んで、いつか英語を使った職業につきたいと考えていた。英語が得意 なのでせっかくだからその能力を生かした方がいいと思っていた。
いつのまにか拓海は広々とした世界を思い浮かべていた。大海原にどこまでも広がる空を。まだ体験したことのない世界の中で、鳥となって、空を飛んでいた。
鳥は自由だった。自由を与えられた鳥は、どこかへ向かって飛んでいく。自由が許された鳥は、いったい何を求めるのだろうか。空から地上を見ると、鳥は一面を見渡すことができた。山脈の形もつかめるし、海と陸の境界線もすべてがはっきりしていた。どこを目指せばいいのか、はっきりわかる気がした。
その時だった。 急に雷が空を引き裂き、鳥を直撃した。一瞬の出来事だった。雷を受けた鳥は重力のままに、地面へと向かって一直線に急降下。そして、地面に打ちつけられて、そのまま絶命した。
拓海の空想は気持ちのいいものではなかった。 自分はいったい何を考えているんだろう。 拓海はそう思った。
鳥ですら逃れられない運命があるのか。 なぜか拓海は、最悪の状況を想定して、そしてある結論に逆説的に到達した。
もし、自分にも運命があるのだとしたら、それに従わざるを得ないのかもしれない。 自分の運命はわからない。でも、何を大事にするかは自分で決めたい。




