閑話休題 ”2人”の関係
「ゴルザンさん、カレンさんって……昔からあんな感じだったんですか?」
ミーナが、そっと湯気の立つティーカップを差し出す。
「ん、ありがと。……“あんな感じ”ってのは?」
「えっと、すごく仕事ができて、さばさばしてて、でも優しくて……」
「はは。だいぶ美化してんな」
ゴルザンは紅茶を一口飲む。
「ま、あいつは“本社向き”だよ。合理的だし、余計な感情を持ち込まねぇ。上にも下にも好かれるタイプさ」
「じゃあ、なんで地方支部の研修なんて──」
「……人手が足りなかったんだろ、単純に」
それ以上は語らないというように、ゴルザンは視線をカップの中に落とした。
「でも、昔から知ってるんですよね? カレンさんのこと」
「まあな」
「……もしかして、昔なにか……」
「ミーナ。そういうの、聞かねぇほうがいいこともあるぞ」
いつになく低い声だった。
「……す、すみません」
「……ま、嫌な気はしねぇけどな。お前が気にしてくれるってのは」
ゴルザンは照れ隠しのように鼻を鳴らし、そっぽを向く。
「でもな、過去のことは過去だ。いまここで、お前が頑張ってくれてる。それで十分だろ」
「……はい」
紅茶の香りがふわりと漂う。
「……そういや、カレンもああ見えて、昔はけっこう熱血だったんだぜ?」
「え、そうなんですか?」
「うん。俺と大喧嘩したこともあったな」
「理由は……?」
「さてね。忘れたよ」
ゴルザンは静かに、でもどこか遠くを見るような目をして、紅茶を飲み干した。
「……あ、ミーナ。これ、うまいな」
「えへへ、お気に入りの葉っぱなんです。今度お裾分けしますね」
ふたりの間に、あたたかい沈黙が流れた。




