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転生

森の匂いが好きだ。軋んで折れて前に進む。小さくて無数の音が思考を蝕んでいく。高原よりも風を感じ、人混みよりも生を学べる森は心地がいい。目を瞑って前を向いて一歩進んだ。



目が覚めた。目が見えない。音が聞こえない。体の感覚がない。死んでるやん。何地獄だろこれ。束縛地獄とかありそうだな。閻魔様に言い訳したいこといっぱいあったのにな。まずい。


「うんこ源泉垂れ流しだわ」

「なんで生まれてすぐうんこしテェんだよ」

「!!?」

「俺が口と耳だけ作ってやった。質問にこたえろ。お前は何者だ?」

意味不明すぎる。作るって何?怖い。今の自分の状況が知りたいのはこっちの方なんだよなぁー。ちゃんと答えなきゃ。あれ頭がボーってする。僕の名前なんだっけ。あーそうだこれだよな


「前田進です。」

「意味わかんねーこと言うな。さっき生まれたばっかのお前は何者でもねえよ。なのに何者でもないお前がなんで話せるんだよってことだ?」

生まれたばっかのってなに?どう言うこと?転生でもしてんのかーい!  


転生してそうじゃね?そうとしか考えられんわ。


「おいはやく答えろ。お前を生かしとく理由なんてないからな?」


さっきからこの人怖いなぁ。


「転生しました。記憶ありません。けど話せます。」

「もう1回聞いてやるよ。お前は何者だ?殺されたくなければ俺にわかるように話せよ?」

「転生しました。なので話せます。自分が今どんな状況にいるか全くわかりせん。」

「適当に答えてんのか?まあいい元々殺す気はなかったしな。魔獣とか魔力について何も知らないんだな?」

「何も知らないです。」

「そうか。ならいい。」

そう言った瞬間身体が動かせるようになった。目を開けたら、星一つない真っ暗な空と風一つない森の中で僕の方をまっすぐ見つめる男が立っていた。

まるでごぼうのような男だった。

自分の体とかどうなってんだ?色々起こりすぎてる。


「質問とかしてもいいですか?」

「黙れ。これからお前は、記憶喪失したクソガキだ。転生とかなんだ言ったら気が触れてると思われるからな。俺の道場に着いたら他の奴に聞け。返事は「はい。」だけだ。」

「はい。」

確かに気が触れてるとか思われたくないもんね。


「こっちにこい」

「はい。」


僕の肩に手が伸びる。

「!?」

目の前に平屋の大きな家が現れた!?

瞬間移動してる??

やりたい!できるようになりたい!

ごぼうやるやん!




豪華絢爛な道場ではないし部屋も1つだけ。その中に数百の人が静かに瞑想している。老若男女様々な人がいるが僕と年齢層が近い人は少ないなぁ。ここで瞬間移動の修行すらのしんどそう。


僕とごぼうが部屋に入ると人々は目を開き、僕たちの方に視線が集中する。懐疑的ではなく、柔和な視線。



「こいつに操術を学ばせる。ナレルが担当だ。こいつに基礎を教えろ。お前の村で教えろ。」


え?操術?学ぶの僕。何それ。

「はい。」


「こっちに来い。」


彼がナレルかな?40代くらいで筋骨隆々、明らかに体育会系の男だ。ごぼうより話しやすそう。


ごぼうの手が僕の肩に触れる。瞬間移動だ!

目の前の景色が切り替わる!


「俺はツヨク・ナレル。名前はなんていうんだい?」

「前田 進って言います。よろしくお願いします。」

「マエダ・ススムね。こちらこそよろしく。この村を案内するね!まあ田舎の村だけど。」

「ちょっと待ってください!僕記憶喪失なんです。何も覚えてなくて、操術ってなんですか?」


「え?ほんとに?お師匠様言葉足らずな所あるからなぁ。色々大変だね!なんかあったらお兄さんを頼りなさい。これから俺の家で生活するんだけど自分の家だと思ってくれ。歩きながら操術の説明するね。」


「よろしくお願いします!」


「操術は、魔術と体術の3つに並ぶ三大術の1つなんだよね。この世界にある物を操るのが操術!いろんなものを操るのはなかなか難しいけどね。俺は、周囲の魔力で精一杯。」


魔術?魔力?とかもあるんだ!わくわくするなぁ。

でもごぼうは操術を学ばせる気だったよな?追い出されるかもしれないし、まず操術からだな!他に聞きたいこと山ほどあるけど。


「操術の基礎は瞑想って言ってましたよね!はやくやってみたいです!」


「記憶がないのにやる気十分だね!瞑想をやるなかで意識することは、自分の魔力と自然の魔力を融合させるイメージだ!自分も自然の1部であることを自覚していこう!これを繰り返していくと自分の魔力以外も操れるようになるんだ。」


うん?僕さっきまで木だったよな?自然の1部じゃない?適正ありそうじゃん!自分の魔力を認識すればいけそう!


「自分の魔力をどう認識すればいいんですか?」


「え?あーそっか。記憶喪失しててそこがわからないんだね?...........わかんないなぁ。小さい頃から自分の魔力は認識できてたし。まぁ修行してたらできるようになるよ!」


「頑張ります!」


「僕の家の前着いたよ!家族に事情説明するからちょっと外で待ってて。」


夜で寝てるだろうしな。いきなり住むの大丈夫かな?

この村和風な感じだよな。素朴な家だなぁ。トイレとかどうなってんだろう。

普通転生って記憶喪失してないよな?ってゆうか僕なんでこんなに話せるんだ?和風とか素朴とか。

ん?夜なのになんでこんな明るいんだ?





























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