脇役未満の英雄 1-2 修正2024/12/31
これはいつまで続くやら・・・
そうして人類が長く争いをし、生命が干上がったところで新たな敵が現れた。それは陸海空より現れ人類を攻撃し、さらに野生動物は凶暴化して人間を襲うようになった。
人々はこれを天罰だと言ったが各国政府はその俗称を採用せず、“霊獣”と呼んだ。本来神聖な存在に使われる名前だが、起源が不明な事。そしてタイミングの悪さに、そう呼ばざるを得なくなった。
人類vs人類vs霊獣 の争いは長く続いた。水資源を求める人々が、SEを利用して海水を大量に取得。次に兵器転用し、水攻めに使用。それを防ごうと海に核を放ち、海が激しく汚染。採掘と戦乱による砂漠化で星は荒廃し、空は色を失った。人類も大幅に減少。政府や国家は機能しなくなり、小政府となって各々の狭い地域を守った。
それからまた長い年月が経ち当初ほどの争いがなくなった頃、人々はあるものを発明した。
それは“人造生命体”である。減少した生態系を復活させるべく、まずは植生、次に動物が造られた。ベース技術はSEである。
既存の旧資源を使った技術では似た存在の“人工生命体”は作れたが、これは自然を再生ではなく模倣する技術。遺伝情報を元に“限りなくホンモノに近いニセモノ”は作りだせるが、“過去のもの”を再生するには“歴史を刻んだ”霊水が必要だった。
その成功を元に、人類は“同族”を生み出した。素材は新資源と旧資源。SEを応用しており、人口減少の歯止めに貢献した。
しかし人類、やはり人類なのか、これを兵器化する。ディストピア化した世界において、生き残るためには手段を選べなかったのである。
開発速度に差はあるものの、幸か不幸かこの技術は世界中で開発された。
この発明により、人類は霊獣陣営に対する本格的な反撃ができるようになった。
そうして投入されたSE兵器は皮肉にも“人造霊獣“と呼ばれた。
人類はこの新戦力によって力を盛り返し始め、霊獣陣営と対等に渡り合えるようになった。
総歴5476年。ここに後に世界を変える英雄が任務に・・・就かなかった!
ここはとある基地の廊下
隊長「なわけ。そんな事を考えてた時期がありましたよハイ。いつかは英雄になるんだって。でも無理だった訳ですよ。やっと部隊長になったのに、適性が低いと言われて低危険度戦域への配属だ。まあ願ったり叶ったりだけどね。」
隊長「で、最近は便利なモンで、1人でも部隊運用ができるよう支援AIを支給されるとは。」スタスタ
人事科にて
人事ロボット「こちらが端末になります。」
隊長「ありがとうございます」
ロボ「起動をし、支援AIに使用者認定をさせます。」ピッ
フォン・・・
システム「こんにちは。支援システムです。使用者認定を行います。」
ロボ「ではこちらに」
隊長「はい」ピッ
システム「支援AIを起動します。」
アプリが開く
AI「人造魂搭載AI、スピリットエンジン(SE)でございます。使用者登録を行います。」
隊長「ほう、これが・・・。人工物のシステムに、人造魂のAIか。ハイブリッド生命体とは、よく言ったモンですな。」
ロボ「はい、用途は限られますが、旧式ながらも冗長性と信頼性のあるOSを兼ねる支援システムに、OSとしても管理システムとしても変幻自在の支援AI。この二面性により、確実な業務支援が可能です。」
隊長「便利な時代ですな〜」ピッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
端末に目、指紋、声、顔の登録をする
AI「登録完了です」
隊長「よっしゃきた」
ロボ「お疲れ様です。今後はこの端末よりサポートを行いますので、何でもおっしゃって下さい。」
隊長「はい。しかし・・・」
ロボ「はい?」
隊長「この技術の名前と、AIの名前が一緒というのはいささかややこしいですね(´・∀・`)」
ロボ「そうですね〜。SEという名前にあやかった、なんて話も聞きますしね」
隊長「そういや人事ロボさんは人工生命体ですが、違和感ないですよね」
ロボ「ありがとうございます。見た目はいかにもロボットって感じですが、バックアップに記憶や人格などの中枢情報を保護するブラックボックスにSE技術が用いられています。
その支援AIは発展型です。」
隊長「それすんごいですよね〜。と言う事は君の先輩な訳ですな、SE君」
SE「はい」
隊長「しかも旧世代は動力が電気や霊水っていうから、コスパも扱いやすさも未だに第一線で頑張ってますよね。」
ロボ「えぇ、まだまだ若いモンには負けんよってやつです」
隊長「良いですね〜しかも話し上手!」
ロボ「ありがとうございます」ペコリ
隊長「いえいえ〜」
隊長「では、そろそろ行きます」
ロボ「はい、お気をつけて。あなたのこれからのご活躍を期待しております」
隊長「ふふ、ありがとうございます。では」ペコリ
ロボ「はい」ペコリ