脇役未満の英雄 1-1 着隊〜 修正2024/12/31
新シリーズ始めました。本命のやつがスランプなので、気分転換します
はるか太古の王国、ヴァイル王国。この星。、原初の王国が暦を発明した事によって作られた、ヴァイル暦。後に多くの国家がこれを真似した事によって世界中に広まった。発明した国が形を変えても。
年号変われど暦は変わる事なく。今でも世界の歴史を刻んでいる。
ヴァイルという歴史は古く、世界中で使われたその名はいつしか総歴、と呼ばれるようになった。
全てを併せ持つ。そんな意味がつけられたのは、この統一されていない世界でどれだけの敬意があっただろう。
人類は長年の繁栄によって、ついに魂を解明した。生命の源の霊泉、そこから湧き出る霊水。そこから精製される魂。
研究の副産物として、霊水を活用する技術、す、す、すぴ・・・えーーーっと・・・
コホン!
スピリチュアルエンジニアリング、略してSEが発明された。
これに伴い、霊水は新資源と名付けられた。燃料や物、食べ物に至るまで、どんなものにもなる万能物質。
この物質の大きな特徴はもう一つある。それは、埋蔵場所が全世界にあるということ。それはクリーン且つ、豊富にあった新資源。
これにより人類は長年の資源戦争に終止符を打ち、世界に平和が・・・訪れなかった!
というのもこの技術・・・発明されたばっか!そんでそれを先進国が独占!さらにそれまでの旧資源を持つ資源国家がこの万能物質をあらゆる手で批判!
それもそのはず、こんなものが世界中で流通すれば、これまでの資源の価値が無に等しくなる。それはすなわち、国家としての価値が下がる。資源国家はほとんどが第3世界の発展途上国か第4世界の国々で、国家の存亡に関わるこの技術は認め難いものだった。
旧資源、新資源、SE。これら全てを持つ国は一部の大国以外なく、これらの独占は世界から激しく非難された。
これらを元手にどんどん発展する先進国、資源価格低下による資源国家の貧困の悪化。
夢の技術は、世界の格差を著しく広げた。
これに心を痛めた一部の科学者がこの技術をこっそり流し、意図しないところでこれに過激派が乗っかり、世界中に広まった。
さらに、これを神のみに許される業、としてこの技術に反対する反SE派の台頭により、これを必要とする者、対、宗教上の理由で反対する者、による激しい対立が起こった。
SEの乱用による暴力事件の増加もおこり、これをドラッグとして使う者まで現れた。これは体への害は少ないが、依存性が高かった。
この事態が起こすもの。それは、争いである。
ついに人類は争いを始めた。
最初は第3世界、第4世界。それから東西の陣営。様々な人が、様々な理由で争った。それは長い間続いた。たやすく戦争の道具になる霊水は制限なく採取され、霊泉が干上がれば次へ。
さらに人々はこのSEの思わぬデメリットを知る事になる。
それは、生命の枯渇である。干上がる筈のない霊泉が枯れ、その土地からは緑が消え失せた。さらにそこに住む人々の目から生気がなくなり、自ら命を断つ者まで現れた。
ある宗教家は言う、“天罰”だと。
これに対しSE専門の科学者は反論出来なかった。それもそのはず、おかしいのである。理論上、この生命の源は地球上全てにあり、且つ地中深くまである。
SEが拡散し争いが起きる前、商業採掘を行った地域の生態系や人々になんら変化はなかった。むしろ活気が溢れた。生命の源になる資源。それを人々は分かっていたからこそ、その場所を大切にしようとした。場所を選ばぬ資源であるため、採掘は人口減少が激しい地域で行われた。そこでは人々が採掘活動の傍ら、生態系の保護や緑地化に勤しんだ。
これも魂や神秘を解明した事による副産物で、今まで遠かった存在が明確に近くなったことによるものだった。
だからこそ、この現象は不可解だった。