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95、意外な人物

丘に登ったユリトス一行とアトリフ一行はまた対峙する形になった。

アトリフは言う。

「ユリトス。俺たちの狙いは共通するのか違うのかわからないが、俺はあんたみたいに、国王の失踪の謎を解くとか綺麗ごとが嫌いだ。俺たちは自分の欲望を満たすために、ドラゴンの秘宝を目指す。ゆえにあんたらとは別行動をとる」

ユリトスは答えた。

「かまわんよ。こちらもそのつもりだ。それにあんたたちには随分困らせられた過去があるからな。今更手を組もうとは思わんよ」

アトリフたちは、馬に乗った。

「しかし、俺にはドラゴンの血が必要だ。つまり三人の国王の血が。だが、ユリトス、あんたが言うように、このドラニアに先代の国王夫妻がいるならばそれでも俺の願いは叶う。しかし、あんたらの少年王三人が一緒に行ってくれたら嬉しいのだが・・・」

五味が言った。

「俺は嫌だ。おまえの願いを叶えてあげるような義理はない」

九頭も加須も言った。

「「同感」」

アトリフは言った。

「では、先に行っている。西で会おう」

アトリフたちは馬に乗って去って行った。

ユリトスはみんなに言った。

「よし、我々も行こう」

ラーニャが言った。

「しかし、アリシアたち臭い!」

ポルトスは言った。

「川があったら入ればいいさ」

チョロは言った。

「俺も仲間にしてください。行き場所がないんです」

ユリトスは言った。

「この男は?」

アラミスが答えた。

「この町の牢で出会ったんです。コソ泥ですが、すごい掏摸(すり)の能力を持っています」

「掏摸の能力?」

「牢の中で、この町の名と、レイド―の名を教えてくれた人物でもあります」

「ようするに助けられたのだな」

ユリトスが言うとアラミスは頷いた。

「掏摸のおかげで一晩宿が取れました」

「そうか、では、チョロ、おまえも共に来い」

ユリトスが言うとチョロは半泣きで喜んだ。

「ありがてえ」

しかし、仲間になりたいのはチョロだけではなかった。

丘の下からあの巨漢のボールガンドが走って来るのだ。

「俺も連れてってくりょ~」

ポルトスは言った。

「なんだ、あいつ、さっきまで敵だったじゃないか?主人のレイド―を見捨てて逃げて来るのか?」

ボールガンドが近くまで来たのでユリトスが言った。

「おまえはなぜ、主人の館の門を離れこっちに来たのだ?ソウトス軍が、攻めてきている危ない時ではないか?」

ボールガンドは言った。

「あいつは自分の名声しか考えない嫌な奴だけん、俺は嫌いなんだ」

「え?」

五味が訊いた。

「じゃあ、さっきは何で戦ったんだ?」

「そりゃ、命令があったからな。乗り気じゃなかったけど」

「しかし、命を賭けて戦ったじゃないか?」

「俺は体が石みたいに堅くなるだけん、絶対死なないと思っていただよ。だけん、あのアトリフっちゅう奴に眼が弱点だって言われて正直ビビッただよ」

「ビビッたのか?」

「うん、弱点がバレたら無敵じゃないもんね」

アラミスが言った。

「しかし、主人を捨て置いていいのか?」

「だから、あいつは嫌いだって言ってるら?」

「裏切ったのか?」

「裏切ると言うと聞こえが悪いが、いつも俺はいじめられていただよ。そいで都合がいい時に俺を矢面に立たせるのがムカつくだ」

オーリが言った。

「ああ、町に火の手があんなにたくさん。あ、ソウトス軍がレイド―の館に!」

もうボールガンドは止まっていなかった。

坂を登って五味たち一行に近づいて来る。身長三メートルの巨漢が近づいて来るのは迫力があった。

ジイが言った。

「ユリトス殿我々も危険です。逃げましょう」

「うむ。おい、巨人。その足でついて来い」

五味は言った。

「え?ユリトスさん、仲間にするの?」

「ただ、ついて来てかまわんというだけの話だ。とにかく逃げるぞ!」

ユリトスを先頭に一行は駆け出して西に向かった。

最後尾には巨漢のボールガンドがついて来た。


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