937、カラスのドラゴン
ベランは言う。
「さあ、馬を降りるんだ。俺たちがおまえたちを空を飛んでガンダリアまで連れて行ってやる」
ジイは言う。
「馬や荷物はどうするのじゃ?」
ベランは言う。
「置いていけばいい」
チョロは自分の馬の両サイドに提げているカネの入った袋を意識して言う。
「それはダメだ。俺たちは馬で行く」
五味も言う。
「ああ、それほど急ぐ必要もないからな」
ネズミのドラゴンは言う。
「それが大ありなんだ。ガンダリアの王妃ミラルが、ガランに攫われたんだ」
ユリトスは呆れていた顔を急に引き締めて言った。
「ミラル王妃が?ネズミ、本当か?」
ネズミのドラゴンは答える。
「ああ、本当だ。今頃は、ガランの歩く城に囚われているだろうぜ」
アラミスはユリトスの横顔を見て思った。
「先生はやはり、ミラル王妃に恋を・・・」
ユリトスは言った。
「ベラン、私と五味とジイを連れて空をガンダリアへ運んでくれ」
ベランは言う。
「なぜ、その三人なんだ?」
ユリトスは答える。
「ガンダリアに馴染みの深い三人だからだ。アラミスとポルトスも連れていきたいところだが、さすがにここに残す護衛が必要だ。残ってもらう」
アラミスは言う。
「何を言ってるんですか?先生。王妃様がガランの城に囚われているならば、急いで行ってどうにかなるものではありません」
ポルトスも言う。
「そうです。先にドラゴン・レセンに会えるかもしれないのに五味を先に行かせるのは望ましくありません」
ユリトスは言う。
「しかし、ミラル王妃の命がかかっているのだぞ」
ジイは言う。
「ユリトス殿、気持ちはわかるが、アラミスの言うように急いでなんとかなるものではありません。ここは馬でゆっくりとガンダリアに向かいながら策を練りましょう」
ユリトスは言う。
「しかし、情報がないのに策を練るなど・・・」
そのとき、ベラン九勇士の中から、黒いカラスのドラゴンが進み出た。人間の体にカラスの頭、背中には黒い鳥の翼が生えている。
「俺が情報を集めてやるよ。俺はカラスと話ができるんだ」
九頭は言った。
「ラミナと同じ魔法か?」
すると、ネズミのドラゴンは言った。
「いや、こいつのは魔法と言うより、自分がカラスだからカラスの言葉がわかるのは当然」
カラスのドラゴンはネズミのドラゴンに言う。
「魔法ってことにしてくれよ~」
ベランと他の九勇士は笑った。
アラミスは思った。
「こいつら、以外と間抜けかも・・・」
ユリトスは言う。
「わかった。では、偵察のカラスをガンダリアへ向かわせてくれ」
カラスのドラゴンは言った。
「もうやってるさ」




