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90、消えた三国の王

九頭と加須は、名声王レイド―のもとへ連れていかれた。

レイド―王はほくそ笑んだ。

「これでドラゴンの血が三つ揃った。あとは西にあるというドラゴンの神殿にこいつらを連れて行けば、ドラゴンの秘宝が私の物になるのだ。はははは」

ラレンはこの言葉を聞いていて吹き出しそうになるのを(こら)えていた。

「ひとりはニセモノだよ。くくっ」

レイド―は言った。

「ひとまず、このふたりはガンダリア王と同じ部屋に閉じ込めておけ」

九頭と加須は五味に化けたナナシスのいるビップルームに入れられた。

九頭と加須はそこに五味がいたので笑顔になった。

「五味!おまえ、無事だったのか?」

「ボルメス川に落ちて死んだかと思ったぞ」

「俺なんかおまえが成仏できるよう南無阿弥陀仏まで唱えたんだぞ」

ナナシスは言った。

「ナムアミダブツとは何か知らんが、俺はゴーミ王ではないナナシスだ」

「え?」

九頭は言った。

「ナナシスか、よかった、おまえも生きていたんだな」

この言葉にナナシスは泣きそうになった。

加須は訊いた。

「ゴーミ王は無事か。ラーニャやアラミス、モロスなんかも」

「全員無事です」

「この町にいるのか?不思議な話だな。俺たちより下流に流されたのに、先にこのプキラの町に来てるなんて」

ナナシスは、魔法のトンネルの説明をした。そして、この町で逮捕されたこともチョロというコソ泥の話もし、ラーニャが行方不明で、五味たちは宿に隠れていることも話した。


いっぽう、ユリトスたちはソウトス軍の中にいた。ソウトス軍は荒野を横切りプキラの町に向かって進んだ。

プキラの町の前にはレイド―軍の大勢の兵士が並んでいた。

ソウトスは参謀長バルガンディに訊いた。

「どうする?」

「あくまで友好的に。使者を送りましょう」


レイド―の所にソウトスからの使者が来た。

レイド―は笑った。

「なに?ともにドラゴニアでの領土を拡張しようだと?ふふふはははは。笑わせる。私が領土など欲していると思うのか、俗物が。私が欲しいのは名声だ。それも永遠に輝く名声なのだ。こちらにはロガバ三国の王が揃っている。あとはドラゴンの神殿に行くのみ。ドラゴンの秘宝を手に入れるだけで、私は伝説になるだろう。おい、使者よ、ソウトスとかいう将軍には帰れと言え。こちらには魔法使いがたくさんいるのだ。モンドを射殺したような腕がある奴がいたとしても、このレイド―様には勝てぬと言え」

使者はレイド―の前を辞した。

レイド―は言った。

「善は急げだ。西にあるドラゴンの神殿に向けて出発するぞ。軍隊はこの町守備と、私の護衛の軍隊に分けろ、まさか、軍隊が半減したところで、ロガバの軍隊がこちらの魔法使いのいる軍隊に勝てるとは思えんからな。三国の国王を客室から出せ」

その客室では、九頭と加須と五味の姿をしたナナシスが頭を突き合わせて考えていた。

「どうする?」

「脱走だ」

「どうやって?」

九頭は言った。

「俺は以前、五味とバトシアの王都で下水道を使って逃げた。ちょうどここにはトイレがある」

加須は嫌そうな顔をした。

「え?マジで下水に逃げるのか?」

九頭は言った。

「ナナシス、この町には下水道はあるかわかるか?」

「道にはマンホールがあったぞ」

「よし」

九頭たちはビップルームのトイレに入った。

加須は言った。

「マジでここから逃げるの?」

九頭は笑った。

「覚悟しろ」

九頭は便器の中に飛び込んだ。便器の中からボチャッと嫌な音がした。

加須は躊躇った。

ナナシスが飛び込んだ。ボチャッ。

加須はまだ躊躇っていた。すると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

加須は慌てて便器に飛び込んだ。

しかし、加須は九頭以上に太っていたため腹が便器につかえて、下まで降りられなかった。

下にいる九頭とナナシスは、「このデブ」とか言いながら、加須の足を引っ張った。するとズボッと抜けて、三人は下水道の汚物の中に落ちた。

「う、汚ねえ」

「う、うえっ、ぺっ、口に入った」

「最悪じゃねーか」

「よし逃げるぞ」

九頭は下水道の中を見た。そして、「しまった」と思った。下水道は真っ暗闇だったのである。

「ランプを持ってくればよかった。これじゃ、身動きが取れない」

すると、下水道の奥から光が見えた。

「なんだろう?あれ?光がこっちに来るぞ。やばい、誰か来た。どうしよう」

ナナシスが言った。

「奴からランプを奪えばいいんじゃないか?」

九頭はナナシスに言った。

「名案」

そして、次第に、ランプの光が近づいて来るのを見て、九頭たちの表情が変わった。

「五味!」

ランプを持って下水道を歩いて来たのは五味だった。

「あれ?九頭、加須、そして、俺?何やってんだ、おまえら?」


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