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68、騎士団

ユリトスたちがアラカンガに戻ると、そこには続々とソウトスのロンガ軍が到着している所だった。ロンガ軍は大軍団で、街道を歩くには長い列ができる。先頭が次の町か村に到着したときにまだ、最後尾は前の村を出たばかり、などという感じだった。ただ、その総大将であるソウトスはすでにアラカンガの町に到着し、一軒の宿を本陣に定めていた。ユリトスとポルトスはその街道にある本陣の前を通過しようと思ったが、たまたま外気を当たりに出たソウトスに捕まった。

「やあやあ、君たち、急いでどこへ行くのだね?」

「旅の仲間の所へです」

「どこへ向かう旅なのかね?」

「ドラゴニアです」

「それならばわしらと共に行くかね?軍勢と共に行けば心強いぞ」

「いえ、人を待たせているので、失礼」

ユリトスとポルトスは馬を駆って去って行った。

ソウトスは非常に腹が立った。

「おのれ、ユリトス、こちらには強力な軍勢がいるから守ってやろうと思ったのに、断るとは、これは仕置きが必要かな。おい、騎士団長、二十騎ほど率いて、ユリトスたちをしょっ引いて来い」

「はい、罪状は何でしょうか?」

「罪状?わしがしょっ引いて来いと言ったらしょっ引いて来ればいいのだ」

「しかし・・・」

「いいから行け!クビになりたいのか?」

「はっ、行ってまいります」

こうして夕暮れ時、二十騎の騎士団はユリトスたちを追いかけた。

その頃、ユリトスたちはテントを張り食事をしていた。

五味は言う。

「しかし、ナナシスはブスなオバサンに化けたね。くくく」

ナナシスは言う。

「世の中美人ばかりがいるわけじゃねーんだよ」

アラミスは言う。

「いやぁ、俺もアトスの奥さん見たかったなぁ」

それはゲスな五味も九頭も加須も同感だった。

加須は思った。

「そんな絶世の美女を目に焼き付けたい」

九頭は思った。

「その体の感触を知りたい」

五味は思った。

「股間のY字に顔を埋め匂いを嗅ぎたい」

そこへ二十騎の騎士団が来た。

「ユリトス殿はこちらか?」

「うむ、私がユリトスだ」

「ソウトス殿がお呼びだ、来い」

「要件は?」

「とにかくお呼びなのだ、来い」

「要件を知りたい」

「くどい奴だな。来ればいいんだ」

「要件を教えられずに連れて行こうなど無礼ですぞ」

「いいから来い」

騎士団長はサーベルを抜いた。ユリトスは馬上の騎士団長を睨んだ。

「サーベルを抜いたということは、戦いが始まったと見てよろしいか?」

「な、なに?」

「私も世界一の剣豪と言われて久しい。ただ、剣技がナマっていないか試してみたい。私が剣技を試すということは、敵は死ぬということですぞ」

「む、むう」

「死にますか?それとも、生きますか?」

騎士団長にはソウトスの強い命令が背後にある。引くに引けない。しかし、前へ進むとは世界一の剣豪ユリトスと戦うことになり死に向かうようなものだ。もうどちらにも引けない。

「おのれ、無礼な。とにかく来い」

「いやです」

「ならばこうだ!」

騎士団長はサーベルを振り上げた。

ユリトスは彼の足にサーベルを刺した。早業だった。

「ぐおっ」

「他の者もやるか?我々を世界一の剣豪ユリトスとその弟子だと知って戦うは愚かぞ」

だが騎士は逃げられない。戦うこともできない。また、逃げると言っても、軍隊自体から逃げることもできない。なぜなら、彼らにも家族があるからだ。

ユリトスは言った。

「私たちは死んだことにしてはどうかな?」

「ソウトス殿は証拠を求めるだろう」

「ならば、私たちは見つからなかったとしたらいいのではないか?」

「む?それはいい考えだ。ではユリトス殿お逃げくだされ。いや、もう暗くなる。お隠れくだされ」

「わかった。そなたたちは帰るがよい」

騎士団は帰って行った。

「戦わずして勝つ」

五味と九頭と加須は大きく頷いた。

ジイは訊いた。

「しかし、ユリトス殿、これから先ソウトスの軍勢から逃げるように北上するのはしんどいではないですか?」

「うむ、これから裏街道を行こうと思う」

「裏街道?」

ポルトスは驚いた。

アラミスは訊いた。

「ポルトス、なんだ、それは?」

「このボルメス川沿いを北上する街道は表街道。そして、西の山の向こう側に危険だが早くドラゴニアに行ける裏街道があるらしいんだ。いや、正確にはアトリフがいるキャドラまでかな?」

ユリトスは呟いた。

「また、迷わなければいいのだが・・・」

ユリトスたちは西の牧場に入り、馬を引いて、歩いて山の斜面を登った。そして、山の向こう側、西側に降りた。そのときちょうど日が暮れた。


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