5、ガンダリア国王逃亡
「陛下は逃げるのですか?」
マリンちゃんは言った。
「国民を捨てて逃げるのですか?」
「マ・・・マリンちゃん」
「それでも国王ですか?」
「俺はね、大人たちから戦争は絶対にするなと教えられてきたんだ。だから、どうしても戦争をしなくちゃいけなくなったら、逃げるべきだと思うんだ。俺は平和を愛する人間なんだよ」
マリンちゃんは言った。
「私はそんな陛下は嫌いです」
「そんな~、マリンちゃん」
五味は情けない声を出して、泣いた。
「マリンちゃん、俺と逃げようよ、逃げてくれよ」
「嫌です」
するとジイが言った。
「陛下、マリンちゃんがこう言っているのだし、せめて、王城から命令を出すだけでもされてはいかがです?」
「城に居れば、安全か?負けても殺されないか?」
「いえ、それはわかりません」
「じゃあ、逃げる」
「マリンちゃんはどうするのです?」
「置いて行く」
「は?」
「生きてさえいれば、マリンちゃんよりかわいい子に会える可能性はある」
やっぱり五味は最低だ。ゲスの極みだ。
こうして、夜明け前、五味、いや、ガンダリア国王ゴーミは三名の供を連れ王城をこっそり抜け出した。ガンダリア王国はジイにあげた。




