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395、ドラゴンナイト

少年は仔牛のドラゴンをレスリングのように押さえつけた。

美しい服を着たこの怪力の少年を見て人々が驚いたのは、緑の肌をして、額に二本の角が生えていたことだ。

「うわ、この少年、人間じゃないぞ!」

「何者だ?」

アトリフは驚いて少年を見ていた。

「まさか、まさか、この少年が・・・?」

角のある少年は怪力で仔牛のドラゴンを手なずけてしまった。

少年は仔牛に跨がった。

アトリフは訊いた。

「おい、おまえ!」

少年はアトリフを睨んだ。

「なんだ?」

「おまえは、もしかしてドラゴンナイトか?」

「そうだ。人は俺をそう呼ぶ」

「じゃあ、父親はゾルマか?」

「そうだ」

「じゃあ、母親はクリスティーナか?」

「そうだ。よく母の名を知っているな?父親の名を知っている者はたくさんいたが、母親の名を知る者は初めてだ」

「クリスティーナはどこにいる?元気にしてるか?」

「なんだ?おまえは?気持ち悪い」

「俺は、クリスティーナの婚約者だ」

「バカなことを言うな。母はもう結婚している。婚約者がいるはずがない。ドラゴン、飛べるか?」

仔牛のドラゴンは翼をはためかせた。すると次第に、少年を乗せた体は宙に浮いた。

アトリフは言った。

「待て、俺はアトリフだ。母親に伝えろ。アトリフが助けに来たと」

宙に浮いたドラゴンの背に跨がる少年はアトリフを見下ろした。

「世迷い言を言うな。母は一度しか結婚していない。助ける?何から?意味がわからない」

ドラゴンは翼をバサバサ動かして空中高くに浮かび上がった。

アトリフは言った。

「クリスティーナに伝えろ。アトリフが必ず助ける。バトシアに帰れると」

「くどい!ドラゴン、西へ向かって飛べ」

生まれたばかりのドラゴンはドラゴンナイトと呼ばれる少年を背に乗せて、西へ飛び去った。

夜空には星々が煌めいていた。


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