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35、オーリ

「なに?カードックの町出身?では、本物のカードックはそこにいるのだな?」

「ああ、そうだ」

「しかし、ロンガ軍の調査ではその町にカードックなる者はいないとなっていた。これはどういうことなんだ?」

「カードックはいていない存在なんだ」

「なに?どういう意味だ」

そのとき眠っていたというか眠っているふりをしていたと思われるラレンの姿をしたナナシスが起き上がって言った。

「カードックは魔法使いなんだろう?」

ラルフは言った。

「違うと思う。カードックは人間だ」

ポルトスは言った。

「人間なのに、いていないとはどういうわけだ?」

「それはたぶんカードックの町に行けばわかるだろうぜ」

ラルフはそう言って笑った。ユリトスは言った。

「ではラルフ、私たちをその町に案内しろ」

「俺、ひとりがか?」

「そうだ、他の者はここに置いて行く。致命傷は避けてある。みんな歩いてロンガの町に行くか、それともカードックの町に帰ればよかろう」

ユリトスはジイの後ろに隠れていたオーリという少女に言った。

「あなたは、村に帰るとよい。残念ながら、ご両親はこいつらに殺されたようだ。仇を取りたかったら、この者たちをあなたの手で殺してもいいぞ」

そのとき、五味は言った。

「いや、殺しちゃいけないでしょう?だって、こいつらはケガをして縛られているんだ。抵抗はできないし、これ以上死者を出すべきではないだろう」

ユリトスは笑った。

「ふふ、陛下は甘い。だが、なぜか正論を言っているような気がする」

そして再び、ユリトスはオーリという少女に言った。

「あなたは村に帰りなさい。アラミス、この子を村まで送り届けてくれないか?」

アラミスは答えた。

「わかりました」

すると、オーリという少女は言った。

「みなさんはカードックの町に行くのですか?」

「そうだ」

ユリトスは答えるとオーリは言った。

「私も連れて行ってください」

「え?」

「私の両親は村にはいないのでしょう?それに、隣村の宿屋の娘で、エビリアというお姉さんが、カードックの町に行ったままずっと帰ってきません。私はそのお姉さんから多くのことを学びました。彼女は学問のすばらしさを私に教えてくれたのです」

ユリトスたちは思い出した。途中の宿屋では夫婦ふたりがいた。その娘はいなくて、アリシアがその部屋に泊まった。娘はカードックの町に攫われたかして行ったのだな、そのように合点がいった。

オーリは続けた。

「彼女を連れ戻し、彼女をロンガの都の大学に行かせてあげたい。あの人はすごい学問好きなのに、田舎にいるために充分な学問ができずにいました」

「わかった。そうしよう。そのエビリアという女性に会いに行こう」

こうして、ラルフという少年の山賊たちを倒し、オーリという少女をユリトスたちは一行に加えた。そして、とりあえず眠った。


朝になった。

ユリトスたちは少年の山賊たちの縄を解いた。

「どこへでも好きなように行くがよい。ただし、もう人の道に反するようなことはするなよ」

ケガをしたそれらの少年は動き出そうとしなかった。そんな彼らを見捨てて、ユリトスたちは先頭にラルフという少年を歩かせて、カードックの町に向かった。

途中、草地に馬が踏みしめた跡が残っていた。ここで鉄仮面たちは野宿したのだ。

先頭にラルフ、次にユリトス、そのあとにポルトスとアラミス、そして、ジイとナナシス、その後ろにアリシアとオーリ、最後に五味と九頭が歩いた。

当然、五味と九頭の話題はオーリという少女の顔と体についてだった。

「デブというか、ポッチャリな体、顔はアリシアよりブサイク、いいとこね―じゃんか」

「村人は美人だと言ってたのにな」

「でもポッチャリが好きな人にはいいのかもな」

「五味はポッチャリはどうなんだよ?」

「俺はポッチャリは趣味じゃねえな。あ、でもおっぱいはポッチャリのほうが揉み甲斐があるかも」

「おっぱいか・・・」

ふたりはこの新しく旅に加わったオーリという少女のおっぱいを想像してロマンの世界に心を遊ばせた。さらにふたりは、あの美人な宿屋の奥さんの娘のエビリアはどんな姿をしているのだろうかと期待に胸を膨らませた。

「「加須、待ってろよ。今助けに行くからな」」


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