341、熟女の色香
夜、五味と九頭と加須とポエニは同じ部屋に寝た。ユリトス、ポルトス、アラミスが同じ部屋。ジイ、チョロ、レヨンの姿をしたナナシスが同じ部屋、アリシア、ラーニャ、オーリが同じ部屋になった。トイレは部屋にはついてなく、廊下に出て共用便所に行かねばならなかった。
五味たちがまだ、四十代の成熟した女性について語っていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
そして、外から成熟した女性の声でこう聞こえた。
「この宿のサービスで、男性のお客様には特別なマッサージをさせて頂くことになっております。おひとりずつ、わたくしとマッサージルームにいらしてください」
五味たちは興奮した。
「え?マッサージ?」
外から女は言う。
「若いお客様には私が全裸になってマッサージをさせて頂きます。その際はお客様も全裸になって頂きます。マッサージは手でやるだけではなく、足も使いますし、胸や股間、あるいは舌を使ってマッサージさせて頂きます」
五味たちはベッドから跳ね起きた。ポエニも興奮していた。
「じゃあ、俺から!」
五味が言うと、九頭が言った。
「いや、俺が最初だ!」
加須が言う。
「ここは公平にあいうえお順で行こう」
五味は言う。
「そしたら、加須が自動的に一番じゃねーか。なにが公平だ」
外から女性の声が聞こえた。
「では、ロビーで待っております。くれぐれもおひとりずつお越しください」
女は部屋の前から立ち去ったようだ。
五味は言う。
「よーし、じゃんけんだ」
「「「じゃんけんぽん」」」
「「「あいこでしょ」」」
「「「あいこでしょ」」」
「「「あいこでしょ」」」
「勝ったー!」
勝ったのは九頭だった。
「じゃあ、行ってきまーす」
九頭は笑顔で部屋を出て行った。
廊下には不思議な香りが漂っていた。
エロティックな香りだった。
九頭は頭がぼんやりしてくるのを感じた。
「やべ、興奮しすぎて、おかしくなってきた。いやー、しかし、熟女の話をしていたら、ちょうど、熟女のマッサージが受けられるなんてな。さっきの声は四十代だよな」
ロビーに行くと、ソファに成熟した四十代の美女がいた。
それはハギーだった。太った五十代の美しさもないおばさんだが、媚薬の香を焚いて、カラダにも媚薬を吹きかけてあった。特に九頭はポッチャリが好きだったので、媚薬が効いているものの相手がポッチャリに見えたが、それは望むところだった。
「やった、四十代のポッチャリとやれる。いや、あくまでマッサージだ。うん。売春じゃない」
九頭はハギーに手を取られ一階の部屋に連れ込まれた。
そこには禿げたおっさんがいて、いきなり九頭を縛り上げて猿轡をはめた。そして、クローゼットに押し込められた。
「ハギー、次はフェニックスの子供を同伴させろよ。俺がカーテンの裏に隠れて、おまえが少年にマッサージしてる間に、フェニックスの絵を描いて、吸収してやるからな。三人目の少年はいらねえ」
「わかったよ、マック」
ハギーは部屋を出て行った。
そして、五味たちの部屋のドアをノックした。
「次の方、どうぞ。あ、さっきのお客様はマッサージが気持ちよすぎてただいま眠っておられます。あ、お次はできれば、ペットの鳥もお連れください」
五味は言った。
「ペットの鳥?鳥とマッサージは関係あるのか?」
「ペットを利用した秘技がございます」
五味は言った。
「そんなら、行こう。ポエニ、行くぞ」
加須は言った。
「ちくしょう、俺も早くマッサージされて気持ちよくなりてえな」
五味はポエニを連れて部屋を出た。
廊下には誰もいなかったが、エロティックな香りが充満していた。
五味はポエニと階段を降りて、ロビーへ出た。
そこのソファには四十代の美しい熟女が座っていた。
「お部屋にご案内します」
ハギーのあとについて、五味はうっとりとしながら部屋に入った。
五味はベッドに寝かされた。
カーテンの裏ではマックがポエニの絵を描き始めた。
ベッドの上では五味が裸にされている。
すると、床にいたポエニは突然「ポエッ!ポエッ!」と叫びだして、カーテンのほうへ向かって行った。
うっとりしている五味はポエニに言った。
「うるさいぞ、ポエニ」
ポエニは五味の制止も聞かず、カーテンをつついた。すると中から、「いててっ」と言って、禿げたおっさんが現われた。
五味は気づいた。
「あ、おまえは?」
すると、五味の上にまたがっていた、ハギーが言った。
「こうなったら、強引にやるしかないね」
五味は自分にまたがる四十代の成熟した美女を見た。しかし、それは五十代の性的魅力を失った太ったおばさんに過ぎなかった。
「う、うわっ。おまえは!」
「あんたは殺して・・・」
ハギーにポエニが襲いかかった。
「いたっ、こら、やめなさい、うわっ」
ポエニの嘴は痛かった。ハギーは部屋の隅に逃げ出した。
禿げたマックはレイピアを抜いた。
「ちくしょう、本当は怪我はさせたくないが・・・」
そういうマックに、ポエニは口から炎を吐いた。
マックは炎を顔に受け、サイドに残った髪の毛はチリジリになり、気を失って倒れた。
そこへドアを開けて加須が入ってきた。
「五味、まだか?・・・ん?ああっ!ユリトスさんたちを呼んでくる」
そう言って加須は走って行ってしまった。
ハギーは「しまった」と言って、マックを抱えて窓から外へ出ていった。
ユリトスたちが来たときは、クローゼットから五味が九頭を助け出し、縄をほどいているところだった。
ユリトスは言った。
「何があったんだ?」
五味は言った。
「ポエニを狙ってる例の二人組だよ」
ユリトスは訊いた。
「なぜ、王らはこの部屋に来たのか?」
五味は正直に言った。
「熟女の色香に誘われて・・・」
ジイは手を額に当てて嘆いた。
「ああ、陛下がこんなでは、先代国王夫妻に合わせる顔はないわい」
こうして、また、五味たちは部屋に戻って今度こそ睡眠に入った。




