3、ガンダリア国王に転生
五味が気がつくと、目の前に知らないじいさんの顔があった。彼はフランス料理店の給仕か、あるいはバーテンダーみたいな服を着ていた。
「陛下、お気づきになられましたか?」
「え?誰?ここはどこ?」
見渡すと、白い大理石で出来た広くてすんごいゴージャスな部屋の天蓋がありレースのカーテンが垂れ下がるキングサイズのすんごいゴージャスなベッドで寝ていた。周囲には大勢の人が跪いていた。
「俺は誰なの?」
老人は言った。
「おお、陛下はご自分が誰かわからないと仰せられますのか?」
「うん、わかんない。って、陛下ってなに?」
「あなたは、ガンダリア王国、第十二代国王、ゴーミ国王陛下なのですぞ」
「ガンダリア王国?国王?マジで?」
「マジでございます陛下。この祈祷師のおかげで陛下は深い病の眠りから覚められたのですぞ」
その祈祷師は深々とお辞儀をした。
五味はそのばあさんを見て言った。
「あ、神社で巫女をやってたばあさん!あんた、俺、本当に転生しちゃったの?」
祈祷師は首を傾げた。
「はて?陛下はまだ夢を見ておられるようでございますな」
「夢?俺は日本人で五味っていう名の無職十五歳」
じいさんは言った。
「いいえ、あなた様はガンダリア王国、第十二代国王、ゴーミ国王陛下でございます」
五味は思った。
「国王か。本当に転生したんだな?俺はてっきり転生って赤ちゃんから始まるのかと思ってたら、誰かの人生の途中から始まることもあるんだな。しかも、日本人だった俺の記憶ははっきり残ったままだ。ガンダリア王国?聞いたことがない」
五味は裸足でベッドから大理石の冷たい床に降りた。
壁に大きな鏡が金縁の額にはめられて掛かっていた。それに映った自分の姿を見ると、あの慣れ親しんだ五味の顔、体そのままだった。五味は鏡の前で自分の顔を手で触って確かめた。柔らかな素材のパジャマを着ている体もあちこち触ってみた。どこも今までと変わらない十五歳の五味だった。
五味は大理石の床を裸足で走って、バルコニーに出た。
眼下に中世ヨーロッパみたいな都が広がっていた。
都の外には草原が広がり、大きな川がまっすぐに流れ、水面に晴れた空を映している。
五味は考えた。
「時代はいつだ?場所はどこだ?それとも異世界なのか?ん?国王?」
五味は声に出してじいさんに訊いた。
「俺が国王ということはここは王様の住む城か?」
「さようでございます」
「では、ハーレムはあるのか?」
「もちろんでございます」
五味は顔中がいやらしい喜びでいっぱいとなった。
「すぐに、俺をそこへ案内しろ!」
「おう、陛下がお元気になられた」
「じいさん、案内しろ」
「じいさんではありません。侍従長のジイでございます」
「名前がジイなのか?」
「はい」
「まあ、いい。俺はハーレムで遊ぶぞー」
五味はハーレムで美女たちと遊びまくった。その詳細は書くと未成年の読者の目には憚られるので省く。