284、捕らえられたユリトスたち
九頭はサイを抱えながら、アトリフを睨んだ。
「なぜ、サイを殺した?」
アトリフは剣を収めて言った。
「殺して当然だろう?決闘だからな」
「なぜ、決闘なんかするんだ?」
アトリフは答えた。
「そいつから挑んできた決闘だ。そもそもはそいつの親父がこの町の住民を喰ったことに原因はある。十五年前の話だがな」
「殺さなくてもいいだろう?」
「いや、殺さなければ殺される、それが決闘だ」
「でも、前回の決闘ではサイはおまえを殺さなかったじゃないか?」
「あれは、俺を殺さなくとも勝利したとそいつが思ったからだ。俺は今回、そいつを生かしたまま勝利するという余裕はなかった。だから殺した。それに何度も言うが決闘は相手を殺して終わるものだ。それとも殺されて終わるものだ」
「だけど、サイは俺の友達だぞ」
「そんなことは知らん」
すると、カルガンが言った。
「犀のドラゴンの仲間は全員逮捕しろ!」
アトスは言った。
「む、どうします?ユリトス先生」
ユリトスは答えた。
「馬を下りておとなしくお縄を頂戴しよう。この数では勝てるわけがない」
ドンブラ将軍は言った。
「よし、おまえらはホテルの部屋に監禁だす」
こうして、ユリトスたちは全員捕らえられてしまった。
しかし、五味だけはアトリフの方にいたので逮捕されなかった。それとロローがデムルン宰相の息子であるとわかると、彼は自由の身となった。
自由になったロローはアトリフの方に五味がいたのを見ていたので、アトリフにコンタクトを試みた。アトリフは戦うことが出来たと言え、まだ床についていた。
「ああ、俺はちょっと無理をしたようだ。時を止める魔法もあまり使いたくはないのだが、そうしなければあの犀には勝てなかったろう」
ロローは同じ部屋にラレンがいるので、復讐をしようか迷っていた。
「ラレンに決闘を申し込む?しかし、今は、僕と五味、それからアトリフ一味しかユリトスさんたちを助けられる人間はいない。ここでラレンと決闘をするのは僕の我が儘になる」
ラレンはそう考えているロローの心を見透かして言った。
「俺を殺したいんだろう?坊ちゃん」
ロローはラレンを睨んだ。
「今はそういうときじゃない。おまえは後で殺してやる」
ラレンは笑って言った。
「怖い怖い」
五味は言った。
「ラレン、なんか案はないか?ユリトスさんたちを救出する方法。おまえなら何か思いつくだろう?」
ラレンは笑顔で答えた。
「ゴーミ王。俺は賞金稼ぎだ。おまえらのために働いていくら賞金をくれる?」
五味は考えた。そして、笑って言った。
「ガンダリア国王の王座をくれてやる」
ラレンは笑った。
「くくく、ははは、あっはっは。そいつは賞金にしてはデカすぎる。もっと現実的な値段でいいぞ。じゃあ、こちらから提案しよう。十億でどうだ?」
五味は頷いた。
「わかった。すべて無事片付いてガンダリアに戻ったら十億ゴールドやろう」
「約束は守れよ」
「わかった」




