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275、犀のドラゴン対サーベルタイガー

犀のドラゴン、ドラゴン・サイと五味たち一行は森の中を西に向かって歩いていた。

チョロは言った。

「絶対、サイよりサイトスの方がいいよ」

加須は言う。

「俺はクサイがいい」

九頭は言う。

「だから、本人がサイがいいって言うなら、サイで決まりだろ?くどいぞ」

五味は言う。

「俺はまだ、オマ○コを諦めたわけじゃねーぞ」

サイは脳内で言う。

「最低だね」

ナナシスは笑う。

「いや~、俺のオッパイという案もあったことを忘れないでくれよ」

ラーニャも言った。

「あたしのクサイトスが一番かっこいいわよ」

五味は言う。

「う~ん、女の意見は貴重だ。俺が女だったらなんて命名するかな?」

加須は言う。

「どうせ、『チン○ン』とかだろ?」

ナナシスは言う。

「今、俺、ラーニャの姿をしているから女の視点で言うと、『ペ○ス』だね」

チョロは言う。

「『ペニトス』がいいよ」

そのとき、サイの声が脳内に聞こえた。

「君たちはふざけてるつもりかもしれないけど、この会話、面白くないよ。下劣なだけだ」

オーリとアリシアも頷く。

ラクルスとレヨンは、「こんな人たちに頼っていいのだろうか」と心配になる。

そんなとき、サイは前を向いて、足を止めた。

先頭のユリトスも馬を止めた。

サーベルタイガーが道を塞いでいたのだ。

この猛獣は、この世界で最強クラスの野生動物だろう。

五味たちが乗っている馬たちは震えて動けない。

ユリトスが戦おうと馬を下りたとき、サイが前に出た。

「僕がやるよ。僕の今日の食事だ」

ドラゴン・サイはサーベルタイガーの方に恐れもせず近づいていった。体格はサイの方がサーベルタイガーには勝る。しかし、サーベルタイガーには牙と爪と俊敏性がある。まさかサイが、アトリフと戦ったように魔法でサーベルタイガーの精神に攻撃をするわけがない、と九頭は思った。

サーベルタイガーがサイに飛びかかってきた。

サイは突然、相手に尻を向けた。

五味は言った。

「出るか?スカンク攻撃!」

しかし、屁は出なかった。

その代わり複数の木の根のような尻尾が鞭のようにしなり、サーベルタイガーを締め上げた。サーベルタイガーは軽く持ち上げられて、ぎりぎりと締め付けられた。しまいには首の骨が折れて絶命した。

九頭は言った。

「すげえ、サイ、尻尾の力だけでサーベルタイガーに勝つなんて。さすがドラゴンだ」

サイは言った。

「じゃあ、僕は食事を始めるよ」

サイは死んだサーベルタイガーを目の前に置き、その胸をがぶりと噛んで、食いちぎった。それから、腹を空かした野良犬が残飯を漁るように、むしゃむしゃと動物的に喰い散らかした。そして、そこに残ったのはほぼ骨だけになったサーベルタイガーだった。地面には血が染みついて黒くなっていた。

「じゃあ、行こうか?」

サイは言って歩き始めた。

サイの食事を見ていた一同は、サイの獣性を目の当たりにして恐怖を感じながら、同時に彼が味方であるという頼もしさを感じながら馬を進めた。


そして、後からそこに来たラレンとザザックは、そのサーベルタイガーの骨と地面に染みこんだ血を見て、背筋がゾクッとした。

「おい、ザザック、おまえ、あいつに勝てると思うか?」

「思うわけがねえだろう。サーベルタイガーをこんなにしちまう化け物とどう戦うんだよ。勝てるとしたら、アトリフの時を止める魔法だけだ。アトリフは先に攻撃を受けなければ勝てたんだ。時を止めその間に犀野郎の眼から脳髄をブスリとやれば簡単な話だったはずだ。先手を打たれたから負けたんだ」

「ああ、わかった。アトリフなら勝てると。じゃあ、俺たちふたりはこうして後を追っているが、奴を倒す方法はあるか?」

「寝込みを襲う」

「無理だろう?あんな神様みたいな奴だぜ?」

「じゃあ、策はあるのかラレンよ」

「俺たちは別に犀野郎を殺さなければならないわけじゃない。アトリフを楽しませることが目的だ」

「ふむ」

「また、あいつらの誰かを誘拐するのよ」

「ははは、常套手段だな」

「誰がいいかな?」

「アトスか?」

「いや、奴はもうお払い箱だよ。あいつを連れてきて欲しいのはエレキアだけだ。だが、もし連れて行っても、アトリフと上手くいくとは思えないぜ?」

「ロローはどうだ?」

「はは、あの坊ちゃんか。宰相の息子。賞金にはなるな。だが、そんなに面白くないだろう?アトリフから見て」

「じゃあ誰だ?」

「もし、ハイン国の王妃が一緒にいるのならば、そいつを連れ帰り軍に差し出せば、たしか十億ゴールドだろ?」

「ああ、そうだ。しかし、それでアトリフが満足するかね?」

「う~ん、しないか?」

「じゃあ誰だ?」

「俺が考えるに・・・あの犀野郎と一緒にいた奴」

「クーズ王か?」

「そうだ、奴を攫って来ちまえば、あの犀野郎怒るんじゃないか?」

「追い駆けて来るか?」

「来る来る、そして、またメファニテで決闘だ。もう奴の手の内は知れている。アトリフが先制攻撃して勝ちだ」

「しかし、そのときにアトリフは戦えるだけの元気が回復しているかな?」

「してなければ、そのときはそのときだ」

「よし。今夜追いついて、クーズ王を誘拐か?果たして俺たちは何回奴らを誘拐してるんだろうな?」

「ははは、何十回でもやってやろうぜ」


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