274、テントにぎゅうぎゅう詰め
その前日のうちにユリトスとアトスとロローは五味たちに追いついた。
一行は犀のドラゴンとともに歩いていた。
そして、池に着いた。
犀のドラゴンは言った。
「ここで一泊しよう。僕も慣れ親しんだこの池にお別れをしたい」
九頭は言った。
「わかったよ。みんな、テントを張ろうぜ」
ユリトスは言った。
「まずいな、テントは四人用テントが四張りしかない、ロローが加わって、ひとりは入れなくなる」
九頭は言った。
「それならご安心を。俺がオーリの上に寝るからいいよ」
オーリは言った。
「バカ言わないでよ」
加須も言った。
「じゃあ、俺はアリシアの上に・・・」
アリシアは言った。
「バーカ」
五味は言った。
「俺はラーニャの中で眠るよ」
ラーニャは言う。
「表現が文学的でエロい!」
ユリトスは言う。
「ここは体の小さい者がひとつのテントに五人入ることにしよう。チョロがまず一番小さい。そして、ゴーミ王、クーズ王、それから、変身師のナナシスとポーランはチョロに変身できないか?」
ポーランは答えた。
「もちろんできる」
ナナシスは言った。
「できるけど、俺は元の体には戻れないぜ?」
ユリトスは言った。
「別に困らないだろう?チョロの姿ではまずいことでもあるのか?」
「う~ん、まずくはねえが、ラーニャあたりに変身したほうが、細くていいんじゃねえか?」
五味はナナシスのその意見に大賛成だった。
九頭も言った。
「そうだ、ポーラン、オーリに変身しろよ。アソコまで女になれるんだろ?」
犀のドラゴンは言った。
「あの、もういいかな?僕は池の中に戻るよ」
犀のドラゴンは誰にも関心を持って貰えず池の中にひとり入って行った。
夕食後、ひとつのテントに、五味、九頭、チョロ、ラーニャに変身したナナシス、オーリに変身したポーランが入った。五味はラーニャのナナシスを抱きしめて寝た。九頭はオーリになったポーランを抱いて寝た。そして思った。
「アソコまで女だ。入れてみようか」
そう思ったとき、隣のテントでオーリたちが話す声が聞こえた。
九頭は思った。
「ニセモノのオーリを抱いてどうする?それで俺は満足か?今抱いている女の正体は男なんだぞ!」
九頭はポーランを抱くのをやめた。しかし、もう狭いテントだ。結局、狭いテントで不自然な姿勢で寝ることになった。
五味もラーニャを抱いているのに、相手のアソコが股に当たるのが気持ち悪く、抱くのはやめた。
そして、朝になった。
五味たちがテントの外で食事をしていると、池から犀のドラゴンが現れた。
「サイ!」
九頭は言った。
「おまえは朝ご飯はどうする?」
すると脳内に声が聞こえた。
「今日は西へ出発する。森の中の道だ。途中で何か、動物の肉を食べるよ」
「ワイルドだな~」
一行は食事を終えてテントを畳むと馬に乗り、犀のドラゴンと共に西へ出発した。
ちょうどその頃、ラレンとザザックがメファニテを出発した。
また、カルガン皇太子の軍が、エイルカに到着しドンブラ将軍と合流する間近だった。




