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26、ラレン

その日のうちに、五味たちを連れた軍隊はナキアの町に着いた。

隊長はユリトスに言った。

「本当にここまででよろしいのですか?」

「うむ。軍隊と戦場まで行くのは我々にとっては好ましいことではない。我々は少数で戦場を抜けるか迂回して、ロンガに入りたい」

「わかりました。宿をお取りいたしましょう」

「すまん」

五味たちはその宿で夕食を摂った。

すると隣のテーブルからこんな声が聞こえて来たのでユリトス、ポルトス、アラミスは耳をそばだてた。

「聞いたか。ラレンっていう賞金稼ぎは、先日、百人集めて王たちを捕えて三億もらい、二億を百人に分けて、一億は自分のものにしたそうだぜ」

「ああ、それで今、ナキアの酒場で女を侍らせて豪遊しているそうだぜ」

この言葉に五味、九頭、加須は耳をそばだてた。

「そこの酒場のビップルームで、女たちの服を脱がし××や△△など好き放題やっているらしいぜ」

五味と九頭と加須は立ち上がって隣の客たちに訊いた。

「「「その酒場はどこだ?」」」

客たちは三人の剣幕に驚いて、言った。

「い、いや、なに、この宿の向かい、ケリーの酒場だよ」

五味は歩き出した。

「行くぞ、九頭、加須」

「「おう」」

ポルトスは止めに入った。

「行ってどうするのです?」

「決まってるだろ。そのカネはもともとガンダリアのカネ、つまり王であるこの俺のカネだ。そいつで豪遊するのは許せん。俺が奪い取って、俺とクズリスとカスラスで豪遊するのだ。

九頭と加須も言った。

「「そういうことだ」」

三人は宿を出て行った。向かいにはケリーの酒場がある。三人はその前に立った。中から下品な男の笑い声と女たちの甲高(かんだか)い笑い声が聞こえてくる。

ケリーの酒場の前に立つ三人はもうビビっていた。

加須は言った。

「やっぱ、ここに乗り込んで、ラレンって奴にケンカを売るのは危険だよな」

九頭も言った。

「うん、絶対、殺される」

五味も言った。

「うん、やめよう」

三人は回れ右をしようとした。そのとき、

「あれ~?ゴーミ陛下じゃな~い?」

女の声が店の中からした。

「ねえ、ねえ、ラレン、あれあんたが捕まえたって言うガンダリアの王様じゃな~い?」

「なんだって?」

ラレンが窓から顔を出した。

「おや?なぜ、王様たちがここにいるのかな?」

五味は九頭と加須に言った。

「おい、逃げるぞ」

三人は駆け出した。

ラレンは窓の(さん)を乗り越えて飛び出してきた。

「おい、まて!」

「「「またねーよ」」」

三人は全力疾走だ。三人はユリトスたちのいる宿に入った。食堂にはユリトスたちがいた。

そこにラレンが遅れて入ってきた。

「おやおや、これはこれは、世界一の剣豪じゃないですか。それと三銃士のふたり。また王を連れてご旅行ですか?逃げたのですか?」

ユリトスは立ち上がって答えた。

「我々は裁判を受け議会の承認を受け、ドラゴニアまでの旅を始めたのだ。もう賞金稼ぎが関わるようなお尋ね者ではないぞ」

「あ、そう。でもそれはガンダリアでの話だろ?そっちのバトシア王にはまだ懸賞金の一億が掛かっているじゃないか?え?」

九頭はビビった。

ラレンは笑った。

「ま、俺にはもう一億は興味ねーけどな。バトシアまで行くのはめんどくせーし、だいたい今はカネに不自由はしていない。俺もじつはドラゴニアに行こうと思っているんだよ」

ユリトスは眼光鋭く言った。

「なに?どういうことだ?賞金稼ぎが、一度行ったら戻ってくるのは難しいと言われる危険な地に何の用だ?」

それを聞いて五味たち三人はまたビビった。

「「「え?ドラゴニアってそんなに危険なの?」」」

ラレンは笑った。

「俺は知らねえ。ただ、アトリフがロンガの北部で五人衆の集合をかけたのよ。アトリフ五人衆が集まるなんて何年振りかだ。そんだけ、ドラゴニアにはカネの()る木があるんだろうぜ」

九頭は言った。

「え?なんだって?アトリフ五人衆が集まるのは何年振りか、だって?バトシアで俺たちを襲ったじゃないか?」

ポルトスも言った。

「そうだ、あの袋小路での戦いは忘れられない。まだ、肩に受けた傷が(うず)くくらいだ」

アラミスは言った。

「でもまて、あのときの五人衆にこのラレンはいなかったぞ」

ポルトスも気づいた。

「たしかに・・・」

ラレンはまた今度は腹を抱えて笑った。

「あっはっは、それはたぶん、アトリフの出来の悪い弟だ。兄貴の真似して賞金稼ぎをやっていると聞いたが、五人衆まで真似しているとはな。はは、傑作だ」

「弟?なるほどな」

ポルトスとアラミスは納得した。

ポルトスは訊いた。

「ラレンよ。おまえたちアトリフ五人衆とは腕が立つのか?」

ラレンは笑いをこらえて言った。

「へへ、俺たちは賞金稼ぎだぜ。ま、中には腕の立つやつもいるが、基本的におまえらみたいな剣士じゃない」

「じゃ、五人衆というとどんな能力があるんだ?」

「ここだよ」

ラレンは自分の頭を指さした。

ポルトスとアラミスは納得した。

ラレンは続けた。

「そこでだ。俺から提案なんだが、しばらく俺も仲間に入れてくれないか?」

「なに?」

言ったのはユリトスだった。

ラレンは言う。

「俺には武力がない。戦場を抜けるのは危険だし、迂回するにも敵はいるだろう。だからさ、あんたらと行けば怖くないと思うんだ。いや、ホントだぜ。それに俺の知恵があれば百人力だ」

アラミスは言った。

「なにをバカげたことを言っている。おまえは俺たちを売った人間だぞ」

ラレンはニヤリと笑って言う。

「それはもう過去のことだろ?違うかい、ユリトス」

ラレンはユリトスの目をじっと見た。ユリトスもラレンの目を見ている。

ユリトスは目を閉じて言った。

「わかった。おまえを仲間にしよう」

「ええ?」

五味はユリトスの目を驚きの目で見た。他の五人も同じだった。

ラレンは片目を閉じて言った。

「さすが、世界一の剣豪だ。話が分かる」

こうして、五味たちが信じられないままに賞金稼ぎアトリフ五人衆のひとりラレンが仲間に加わった。


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