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254、ラレンの夢

ラレンは少年だった。

親友とふたりで遊んでいた。

砂場で遊んでいた。

穴を掘り、トンネルを掘った。

そこに水を流し込み、ふたりで「わー、水攻めだー」などと騒いでいた。

日が暮れ、家に帰ると、父親にぶたれた。

「またあの子と遊んできたのだろう?あの子とは遊んじゃだめだと言っているのに、わからんのか?」

「でも、あの子は悪い子じゃないよ」

「今悪くなくても将来悪くなるのだ。あいつはヤクザの子供だからな」

それでも毎日ラレンはその子と遊んだ。

しかし、その子は次第に悪いことをやり始めた。お店の物を万引きするのだ。

ラレンはその子に言った。

「盗むのは良くないよ」

「おまえもやってみろよ。面白いぞ」

ラレンは迷った。

その頃、どうしても欲しいおもちゃがあったのだ。

ラレンは思った。

「一度くらいやってもいいよな」

ラレンはそのおもちゃを盗んだ。

おもちゃ屋の店長はそのおもちゃがなくなっていることに気づいた。店にひとつしかない、高額なおもちゃだったからだ。そして、それをラレンが持っていることに気づいた。

ラレンは叱られたが、嘘をついた。親友にもらったのだと言った。

親友は黙って鞭を受けた。

そのとき、ラレンはなんとも言えない興奮が背筋をゾクゾクッと震わせた。

そこで目が覚めた。

そこにはザザックがいた。エイルカの町の広場の北側のレストランの窓の下だった。

ラレンは何でこんな夢を見たのかわからなかった。この夢は事実にはないエピソードだった。

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