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233、息子ロローと父親デムルン

ロローはテントを持っていなかったので、宿泊するために途中からドラゴン街道に出た。すると、父親の宰相デムルンの軍勢と出会った。ロローは宿にいる父親に会った。

「お父様、僕は自分に屈辱を与えた人間に復讐するために旅をしていましたが、同行の者に諭されて、復讐などくだらないことに気づき、貴族としての務めを果たすべく、東へ帰ることにしました」

ソファに腰を沈めているデムルンは言った。

「その同行の者、ロガバ三国の王ではなかったか?それと、王妃が行方不明だ。知らぬか?」

ロローは言った。

「知りません」

「そうか」

そして、父親デムルンは言った。

「案内しろ」

「え?」

「おまえが戻ってきた道を案内しろ」

「でも、僕は王妃やロガバの国王がどこにいるかは知りませんよ」

「おまえはいつから嘘つきになった。そんなふうに育てた覚えはない」

「しかし・・・」

「私がなぜこんな場所にいると思う?宰相がこんな地方の田舎に。それも全部おまえのせいだぞ、ロロー。おまえがくだらぬ動きをするからだ。バルガンディを討っただけで終わりにすればよかったのだ」

「お父様。僕は復讐に燃えてこの旅に出ました。しかし帰ることにしたのは、お父様のような立派な貴族になりたいと思ったからです」

「ならば、私を案内しろ。それが貴族としての務めだ。うまくいけば陛下におまえの爵位を上げてもらうよう頼んでやる」

爵位を上げるつまり出世させてくれる、その言葉にロローの心は揺れた。しかし、ユリトスたちを裏切ることはしたくなかった。

「一晩考えさせてください」

ロローは宿の自分の部屋に入った。

デムルンはそのロローの行動について何も言わなかったが、こう思っていた。

「一晩考えさせてください?どうせ、爵位欲しさに私の言うことは聞くだろう。昔からそういう子だ。私の言うことは聞く真面目な子なのだ。出世したくない者などこの世にいない。出世したくないというのはバカ者だ。私の息子はバカではない」

翌朝、デムルンがロローの部屋に行くと、そこにロローの姿はなかった。


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