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231、ニセモノのドンブラ将軍

ドンブラ将軍の元へ報告があった。

「将軍閣下、只今、入った情報ではアンダスバルガンディ軍の一部が離脱し、西へ向かったとのことでございます」

「何人程度だすか?」

「百人ほどでございます」

「で、ニセモノのわいドンブラ将軍はその中にいるだすか?」

「いえ、ニセモノのドンブラ将軍はまだ、本軍にいるそうです」

「わかった。離脱した百名はあとで退治すればよい。今は、アンダスバルガンディ軍の本軍を叩いて軍を解散させるだす。どうせ、難民としてこの国で生活することを要求して来るだす。降参すればニセモノのわいの命は取らん、この国で暮らせるよう計らうと伝えるだす」

「はっ」


こちらはアンダスバルガンディ軍の本陣。

ニセモノのドンブラ将軍はラレンとキメラとその弓矢部隊がいなくなったことを嘆いていた。

「どこ行ったんだよう。ラレン、キメラ、おまえら無しで僕に将軍が務まるわけがないじゃないか。僕は戦争を指揮したことなんて一度もない十五歳だぞ。子供だぞ。ああ、嫌だ。負けたら敵軍の将として殺されるんだろ?ああ、嫌だ。死にたくないよう。お母さん。ああ、お母さんは死んだのだっけ。だから、身寄りのない僕をラレンたちはニセモノドンブラ将軍に据えた。悲しむ家族がいないから?冗談じゃない。命の価値はみんな同じだよ。ああ、僕はただ平和な暮らしがしたいんだ。今気づいたよ。将軍にしてくれるだなんて言われて、僕は舞い上がってしまった。出世だと喜んでしまった。でも、ただのニセモノなんだ。嫌だ、嫌だ、死にたくない。あー嫌だ」

そこへ報告があった。

「将軍閣下、敵からの使いが参りました」

「なんだ?」

「降参すればニセモノのドンブラ将軍の命は取らない。他の者は難民としてハイン国で暮らせるよう計らう。とのことでございます」

「よし、降参しよう」


ドンブラ将軍の所にニセモノのドンブラ将軍は連れて来られた。

ドンブラ将軍は言った。

「おまえがニセモノのわいだすか?」

「あなたが、ドンブラ将軍ですか?」

「いかにも。なんだ、わいはてっきり変身師がわいに化けていたのだと思っただすが、こんな子供とは。おまえは変身ができるだすか?」

「できません」

「じゃあ、なんでニセモノのドンブラ将軍を名乗っただすか?」

「僕は一介の子供に過ぎません。戦で両親を失っていたところ、ラレンたちが将軍に取り立ててくれると言ったので、調子に乗ってしまいました」

「ラレン?そいつはどこにいる?」

「キメラの弓矢部隊と共に西へ逃げました」

「む、あの離脱した百名だすか」

「僕はどうなりますか?」

「おまえは普通の難民の子として暮らすだす。今、国王に難民を保護する手を打って欲しいと伝えただす」

ドンブラは家来に言った。

「よし、わいは五千の軍勢のうち千名の軍勢を率いて西へ向かうだす。千名なら充分キャパ内だすし、充分キメラの弓矢部隊にも勝てるだす」

こうして、ドンブラは千名の軍勢を連れて、西へ向かった。ラレンたちが取ったであろう、山岳の道だ。

ニセモノのドンブラ将軍と他のアンダスバルガンディ軍を構成していた者たちは難民としてハイン国に迎えられた。


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