23、ラーニャ
ゴメスの娘は言った。
「あたしも連れて行け」
ユリトスは彼女の顔を見て言った。
「山賊の娘が我々と共に行く?しかも我々は昨日殺された父の仇だというのに?」
ゴメスの娘は馬から降りて言った。
「あたしはもう、独り身だ。残った子分たちは散り散りになって山賊は解散しちまった。頼む、仲間に加えてくれ」
ユリトスは言った。
「できるわけがないだろう。敵の娘が」
五味は彼女の全身をジロジロ見て考えた。
「体はアリシアのほうがいい。でも、顔はブスだが耐えられないほどではない。体も腰の括れが魅力的ではある」
五味は言った。
「ユリトスさん、彼女は俺たちの仲間にしてもいいと思う」
ユリトスは驚いて言った。
「何を言っているのです?昨日の敵ですぞ」
「昨日の敵は今日の友って言うじゃないですか」
ユリトスはそんな言葉は初めて聞いたが、なんとなく説得力がある気がした。
「ううむ」
ユリトスは五味たちのこの平和ボケしたような感じに少し考えさせられるものを感じていたので、五味の意見を無視はできなかった。
「他のふたりはどう思いますか?」
九頭と加須も彼女の腰の括れを見て言った。
「いいと思います」
「ぜひ、仲間にしたいです」
ユリトスは腕を組んで考えた。
「ううむ、三人の王がそう言うならば・・・おまえ、名は何という?」
彼女は答えた。
「ラーニャだ」
こうして山賊ゴメスの娘ラーニャが一行に加わった。
ラーニャは馬を降りた。
「あたしも歩く」
彼女は一番後方を馬を引いて歩いた。そこへ、アリシアが下がってきた。
「あたしはアリシア。よろしくね」
「よろしく。あんた、ずっと馬車の中にいたのね?」
「うん、そうよ」
「なぜ、国王たちと共に旅を?」
「え?そうね、ファンだからかな?」
「ファン?」
「あたし、王族ファンなの」
「ふ~ん。でも、あいつら、弱そうじゃない?」
「弱いけど・・・いいところはあるわよ」
「え?どこに?」
「そうね、例えば、ええっと・・う~ん・・ええ・・う~ん・・ないか・・・」
「ははははは」
ラーニャは声を上げて笑った。
「王族なんて大したことはないわね。一年前に即位したときはすごいと思ったけど、とんだ臆病者だよ」
前を歩く五味たちは自分たちが笑われていることを知り、情けなく思った。
アラミスは立ち止まって振り向いてラーニャを睨んだ。
「おまえ、前を歩け、後ろにいられては、何をしでかすか信用できない」
ラーニャはしぶしぶ馬を引いて前へ出た。
後ろを歩く、五味、九頭、加須はひそひそ話し合った。
「見ろよ、あのケツ、たまんねえな」
「でもアリシアののほうが良くねえか?」
「たしかに体はアリシアだよな」
「うん、わかる、顔ならばラーニャかも」
「でも、顔はどっちも悪いよな」
「ああ、ラーニャのいい所は腰の括れかな?」
などと三人はエロい話をしていた。
そんなふうに一行は歩いていたが、森が少し開けたところへ出たとき、ラーニャはまた馬に乗って駆けだした。そして、こう叫んだ。
「ラレン、約束通り、王たちを連れて来たぞ!」
正面の森の中から、アトリフ五人衆のひとりというラレンが馬に乗って出て来た。
「上出来だ、山賊の娘よ」
周囲の森から百名ほどと思われる槍を持った歩兵たちが現れた。
ユリトス、ポルトス、アラミスは剣に手をかけた。




