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205/1174

205、ロードンの町の捜索

将軍ドンブラは国境コランの町でカリア姫を出迎えた。

「カリア姫、ようこそ、ハイン王国へ。おいはハイン王国将軍ドンブラだす」

カリア姫は頭を下げずに言った。

「私はデラン王国王女カリアです」

「ではさっそく、カルガン王子が待つ、ハイン王都に向かいましょう」

「ちょっと待ってください」

「なんだす?」

「国境はこのコランに戻すという約束です」

「おお、そうだしたな。おーい、皆の者、デラン王国から兵を引け、このコランがまた、国境だす。たった今からそうなるだす」

兵は一気に、もとの関所より西のハイン国側に戻った。こうして国境は回復した。

カリア姫は恋人のライドロを従僕として連れていた。ドンブラはライドロが彼女の恋人であるとは知らない。

「これで任務のひとつは完了だす。しかし、もう一個の任務は難航しそうだすな。ロロー伯爵の救出・・・アンダスたちは北の山岳地帯に逃れたとか。奴らは西へ向かっているという情報もあるだす。まさか、王都まで行く気じゃないだすな?だとしたら、奴ら、ハイン国を舐めているだすな。野盗ごときに王城は破られまい」

ドンブラはカリア姫を護衛しながらドラゴン街道を西へ向かった。


ユリトスたちは昼間にロードンの町に着いた。

「しまったな。ラーニャを連れて来ればよかった。アトリフらはどこにいるのだ?」


ラミナは宿の部屋の窓辺で言った。

「ユリトスたちがこの町に到着したみたい。ただ、他のふたりの王を連れていないわ」

アトリフは訊く。

「どういうことだ?」

「ユリトスとポルトスとアラミスだけで来たようだわ」

アトリフは言う。

「それではドラゴンにお願い事ができないではないか?おい、ゴーミ王、おまえはクーズ王とカース王が必ず来ると言ったな?」

「ああ、言った」

「来ないようだぞ」

「遅れて来るはずだ」

「信じていいか?」

「間違いない」

アトスは言う。

「ユリトス先生たちはどうする?」

「放っておけ、やつらはこのゴーミ王が目当てなんだ。ここがわからなければ、そのままにしておけ」


ユリトスたちは聞き込みを行った。

繁華街で、聞き込みを行っていると、ポルトスは見たことのある男の後ろ姿を見かけた。

「ザザックだ」

ポルトスはひとりでザザックのあとをつけた。

「あいつがこれから宿に戻るとすれば、そこにゴーミ陛下がいる可能性は高い」

ザザックは繁華街の裏通りに入った。

そして、一軒の小さな宿に入った。

「ここか」

ポルトスはひとり、その宿の看板を見上げた。

「『エッチなホテル・ハニー』?売春宿か?ここに奴らはいるのか?」

ポルトスは勇気を出して入っていった。

「いらっしゃいませ」

暖簾をくぐると、男がひとり立っていて、その背後にその店の女たちがいやらしい服装をしてタバコなどを吸っていた。

「旦那、お早いお着きで、どの子が好みでしょうか?」

ポルトスは目のやり場に困りながら、おほんと咳をしてから言った。

「ここにアトリフという男たちが泊っているか?」

「はあ、ご宿泊のお客様ですね?しかし、今日は時間がまだ早く、宿に入ったお客様は先ほど、入った方ひとりしかいません」

「そいつを呼び出してくれ」

「それはできませんな。お客様のお楽しみを妨害することは絶対に出来ません。もし、お会いしたければ、お待ちください」

「いつまで、待てばいいのだ?」

「あの方は一時間のコースで入店されました。延長の要望がなければ一時間で出て来るでしょう。ちょうど夕方の鐘が鳴る時間です」

「じゃあ、待とう」

ポルトスは店の中で待とうと思ったが、女たちが、自分に向かっていやらしい視線を投げかけてきたり、身をよじらせて誘惑してくるのに敵わず、外で待つことにした。しかし、外で待つのも、まるで自分が売春宿に入ろうかどうしようか迷っている真面目だけどエッチがしたい童貞の若者みたいに通行人に思われるようで恥ずかしかった。そんなこともあったし、まだ時間があるため、ポルトスはユリトスとアラミスを呼んでくることにしてその場を離れた。ふたりはそれぞれ、繁華街で聞き込みを行っているところだった。ポルトスに声を掛けられ、ザザックがいる売春宿の前に向かった。三人はそのピンクの看板の店の前に立ち、待とうとしたが、恥ずかしい気持ちもあり、ユリトスが「ここで待つより、奴をつけて行くために隠れて待とう」と言って店が見える道の角に隠れた。

しばらく待つと、夕方六時を告げる鐘が「ガラン、ガラン」と鳴った。

そのときユリトスたちが見ていると、売春宿にスーッと吸い込まれていく少年がふたりいた。九頭と加須である。

ユリトスたちは驚いて、売春宿に駆けこんだ。

中では九頭と加須が女を選んでいる最中だった。

アラミスは言った。

「クーズ王、カース王、こんなところで何をしているんです?マラパーニの町で待っているんじゃなかったんですか?」

九頭は言った。

「い、いや、違うんだ、これは。俺たちは買春なんて極悪非道なことはしない。病気とかもらっちゃうと嫌だからね」

加須も言った。

「そうそう、俺たちはただ、お触りくらいならいいかなと思って入店したんだ。ゴーミ王の居場所を聞き込むついでだよ」

ポルトスは言った。

「この店に今、ザザックがいるのですよ」

「「え?」」

「誰がいるって?」

そう言ったのは店の奥から出て来たザザックだ。

「ザザック!」

ユリトスたちは剣を抜いた。


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