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184、ハヤシライスを食べながら

一行はポルトスの作った夕食を食べた。

今晩はハヤシライスだった。

ポルトスは言う。

「米というのはいい。乾燥していて持ち運びが便利で、水があれば炊くことができる。パンは嵩張(かさば)るし、小麦粉からパンを作るのはキャンプでは難しい」

加須はポルトスに訊いた。

「カレーライスは作れるのか?」

ポルトスは加須を見た。

「カレーライス?何ですか?それは」

加須は「やばい」と思った。「こっちの世界にはカレーライスはないのか」

すると、チョロが言った。

「東方の、南方人の料理でそういうものがあると聞いたことがある。スパイスをたくさん使った、見た目はこのハヤシライスに似たものらしいよ」

ユリトスは鋭い眼で加須に訊いた。

「なぜ、そのようなものがあると知っていたのです?」

加須は慌てた。

「いや、このドラゴニアに来て、そういうのがあるという噂を聞いたんだよ」

五味は話題を変えた。

「南方人か。俺たちのように魔法を使えない人間だよな。しかし、ドラゴニアの北方人には魔法を使える人間がもっとたくさんいると思っていたけどそうでもないのかな?」

ユリトスは言う。

「そろそろ、召喚師を本格的に探さねばならないかもな。このハイン国には、召喚師はいるのだろうか?」

ジイは言う。

「ロガバの国王夫妻は、三組が同じ召喚師に召喚されたのかそれとも別々に違う召喚師に召喚されたのか、そこも重要になるな」

ユリトスは腕を組む。

「うむ、そうだな」

ポルトスは言った。

「しかし、なんのためにその召喚師は国王夫妻を召喚したのでしょう?しかも三国の国王夫妻を同時に」

アラミスは訊く。

「ドラゴンの血が関わっているのでしょうか?」

オーリは言う。

「ユリトス様、ドラゴンの血の伝説はどこまでご存じですか?」

「うむ、ドラゴンの血は大昔、ドラゴンと人間の間に出来た子が、ロガバ半島に下り、そこに王国を建てたという」

アリシアは驚く。

「ドラゴンと人間の間の子?」

オーリは訊く。

「陛下たちは魔法は使えないのですか?」

三人は困った。三人は同時に答えた。

「「「まったく使えません」」」

アラミスはユリトスに言う。

「その大昔、人間との間に子を作ったドラゴンこそ、ドラゴンの血を持った三人が行けば願いを叶えてくれるドラゴンなのでしょうか?」

「うむ、その可能性は高い」

ユリトスは頷いた。ジイは言った。

「孫の願いを叶えてやる年寄りの気持ちかな?」

オーリは言う。

「では、ドラゴンの秘宝とはなんでしょう?願いを叶えてくれるのとは別物でしょうか?」

九頭は訊いた。

「ドラゴンって、エコトスの倒したドラゴンの他にもいるんだよね?だって、ドラゴンって神様みたいな存在なんだろ?あいつは神様って柄じゃなかった」

ジイは言う。

「バトシアのクリスティーナ姫を攫った悪いドラゴンは好色ですが神に近い存在です」

加須は訊いた。

「ドラゴンは人間と、その、セックスしたがるの?」

ユリトスは頷いた。

「うむ、そして、ドラゴンと言うと性別は男であるイメージが強い。女のドラゴンもこのドラゴニアにはいるのだろうか?」

ジイは言う。

「マザードラゴンは女でしょう?」

ユリトスは頷いた。

「うむ、そうだったな」

オーリは言った。

「もしかして、国王夫妻を召喚したのもドラゴンなのでは?」

ユリトスはそれに答えた。

「それはわからない。人間の召喚師も充分に考えられる」

オーリは言う。

「でも、ドラゴンが自分の血を引く国王夫妻を召喚したのなら、その息子たちが来たら願いを叶えてくれると考えたほうが、理解しやすくないですか?」

ユリトスはオーリの顔をハッと見た。

「オーリ、おまえは鋭い思考の持ち主だ。たしかにそう考えたほうが理に(かな)っている。私は召喚師が国王夫妻を召喚した理由となるとさっぱりわからなかった。しかし、ドラゴンの血と絡めて考えれば、説明がつきやすいかもしれない」

五味は言う。

「でも、俺たち三人を呼び寄せたかったら、俺たち三人を召喚したほうが手っ取り早くないか?」

ユリトスは顎髭を撫でた。

「問題はそこだ」

ユリトスは茶を飲んだ。

チョロはハヤシライスを頬張りながら言う。

「で、今後は、その召喚師を探すために聞き込みをよくすればいいんだろ?それは俺の仕事か?」

ユリトスは頷いた。

「うむ、私もやるがチョロがその役には適任かもしれないな」

五味はハッとしてユリトスに訊いた。

「もしかして、もしかしてだけど・・・、召喚師って異世界から何かを召喚することもあるのか?」

その五味の言葉を聞いて、九頭と加須も五味が言いたいことがわかった。

ユリトスは言った。

「異世界ですか?」

五味は言った。

「死後の世界も含めて」

「つまり死者を復活できるかということか?」

「うん、そうだ」

「それが出来るとしたら、神しかいない」

「ドラゴンは神に近い生物なんでしょ?」

ユリトスは五味に訊いた。

「なぜそのようなことを考えるのです?」

五味は自殺した自分たちをドラゴンがこちらの世界に召喚したのではないかと思った。しかし、それをユリトスには言えなかった。なぜ、中卒無職の自分たちを王として召喚転生させたのか理由がわからなかったからだ。

ユリトスは言った。

「では、ハイン国では徹底的に召喚師を探そう。ドラゴンの情報でもいい。アトリフによればハイン国から西はドラゴンがいるらしいからな」

オーリは言った。

「ここからが本当のドラゴニアですね?」

「そういうことだ」

十一人はハヤシライスを食べるとテントに入った。

ユリトス、ポルトス、アラミス、が同じテント。五味、九頭、加須が同じテント。ジイ、ナナシス、チョロが同じテント、オーリとアリシアが同じテントと四つのテントを使った。

太陽は西の彼方に没していた。



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