171、三人の不安
テントは三つに分けた。ひとつにはアリシアとオーリの女子のテント、もうひとつは、ユリトス、ポルトス、ジイ、ナナシスのテント、もうひとつは五味たち三国王とチョロのテントだ。
五味たちはチョロではなくナナシスが来て欲しかったが、ジイがそれを頑なに拒んだ。逆にナナシスは女子組に入りたがったが、これは女子が拒んだ。ナナシスはちょっぴり傷ついた。
五味、九頭、加須は不安で眠れなかった。チョロは鼾をかいて早々に眠っていた。。
テントの外は松明で煌々と明るかった。バルガンディの部隊の見張りが交代で立っていたのだ。それには五味たちは安心できた。しかし、不安は体の底の方からせり上がってきた。
悪いドラゴン。この言葉が何より恐ろしかった。この世の終わりのような響きがあった。
五味は目が覚めていた。
「なあ、九頭、加須、起きてるか?」
九頭と加須は答えた。
「起きてるよ」
「眠れるわけないよ」
五味は言った。
「俺は不安だ」
九頭も言った。
「恐ろしいよな。ドラゴン」
加須は言った。
「神に近い存在が女を攫うんだものな」
五味は言った。
「あー俺、オナニーしたくなった」
九頭も言った。
「俺も。何か不安になるとしたくなるのかな?」
加須は言った。
「じゃあ、外へ出て一緒にするか」
三人はテントから出た。
テントの外には兵士が真面目な顔をして立っていた。
「陛下、何用ですか?」
加須は言った。
「トイレ」
「では林の中まで警護いたします」
「いや、オナニーしてくるんだ。来ないでくれ」
「は、失礼しました」
五味たちは兵士から見えない林の中まで歩いた。松明のおかげで歩く地面は見えた。
三人は藪に向かって、並んで立ち、一物を出して擦り始めた。
五味は言う。
「なるべく、時間をかけよう」
九頭は言う。
「三発やるつもりで」
加須は言う。
「誰を想像する?」
五味は言う。
「俺はラーニャ」
九頭は言う。
「俺はオーリ」
加須は言う。
「俺はアリシア」
三人は堅くなった一物を優しくエロティックに撫でていた。
「ああ、いく」
などと三人が言い始めた瞬間、正面の藪から手が出て来て三人を捕え藪の中へ引っ張り込んだ。松明の近くにいた兵士からは見えない。というか、見張りの兵士は堅物の童貞で国王の性の部分は見るべきではないと考えて見ていなかった。三国王は闇の中へ消えた。




