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162、ユリトス、ウンダスに謁見

ユリトスたちはウンダスのいる王座の間に通された。

ユリトスたちは驚いた。

バルガンディはウンダスの座る王座の横にまるで側近のような顔をして立っていたのだ。

ウンダスは言う。

「おまえがロガバ一の剣士ユリトスか?」

「はい」

ユリトスたちは跪いていた。

「面をあげい」

ユリトスたちは顔をあげてウンダスの顔を見た。

「なるほど、ユリトス、賢そうな顔をしている。で、何の用だ」

ユリトスは言った。

「我々は西のドラゴンのいる地まで旅をしている者です」

「うむ」

「今、ロガバ三国の王はインダスに囚われています」

「うむ、それで?」

「ウンダス様がインダス軍を破ったとき、ロガバ三国の王を解放して頂きたいのです」

「なるほどな。たしかロガバ三国の王はドラゴンの血を受け継いでいると伝説にあるが、本当かね?」

「さあ、我々もよくわかっておりません」

「よくわからないが行くのだな?」

「はい、ロガバ三国の王の両親は突然消えてしまい、恐らくドラゴニアのどこかの召喚師が召喚したのではと思って旅をしています」

「なるほど、親探しの旅でもあるのだな?」

「はい」

「よかろう、ロガバ三国の王は殺さぬよう全軍に通知しておく」

「は、ありがとうございます。ところで」

「なんだ」

「そこにいるバルガンディという男、ソウトス軍の参謀長ですね?」

「そうだが、なんだ?」

「この男から陛下は何か進言を受けましたか?」

「なぜそのようなことを訊く?」

「この男は老兵ソウトスを(そそのか)し、ドラゴニアに進軍させた男です。また何か企んでいるのではないかと心配で」

「私の心配をするのか?」

「いえ、そのような僭越なことは致しませんが、いや、やはり不安なのです。その男、このデランに軍を派遣したとか」

「そうだ、私の力になると言っている」

「そのあとは?」

「なに?」

「力になった後、何を要求してきましたか?」

「ロガバからの移民をデラン西部の開拓に当てたいと言った」

「それは国を乗っ取るための準備と捉えられないでしょうか?」

「なに?貴様、私が騙されているというのか?」

「その男は油断ならぬ男です」

「私はこの男の頭脳を買っているが騙されているというのか?私はそんなアホではない」

「は、失礼いたしました」

このような会話をしながら、ユリトスは考えていた。

「もし、この戦争でウンダスが勝った場合、彼にカリアとライドロを任せてもいいのではないか。この男ならふたりの平和を保障してくれるのではないか」

ユリトスは探りを入れた。

「陛下は、我々がドラゴンの血を受け継ぐロガバ三国の王を連れていると知り、なにか心動かされるものはありますか?」

「どういうことだ?」

「ロガバ三国の王をドラゴンのもとへ連れて行くと、なんでも願いを叶えてくれるという伝説があります。陛下は何か、願い事をしたいなどと思われるでしょうか?」

「私はこの国の王になり、民が幸せに暮らせる国にしたいのだ。それ以外に願いはない」

ユリトスは「この男ならば間違いない」と思った。

「では陛下ひとつお願いがございます」

「なんだ?」

「今、我々の元に、妹君カリア姫とその恋人ライドロがいます。ふたりを保護してくださいませぬか?」

「なんだ、そんなことか。もちろん、保護する。私のたったひとりの妹と、その恋人だからな」

「では今からここに連れて来てもよろしいでしょうか?」

「うむ。安全に出来るのならばな」

「は、では、すぐに連れてまいります」

ユリトスたちはその場を辞した。そして、王城を出て馬を走らせた。西の荒野にはインダス軍が攻撃の態勢を整えている。

ユリトスたちは当然インダス軍の検問を受けたが、ロガバ王らの関係者だと言ったら、すぐに通された。そして、カリア姫とライドロのいるハガンのテント場へ戻った。

「カリア姫、ライドロ、あなたたちの生きる場所を見つけた。ウンダスの元で暮らせ」

「え?」

カリアは驚いた。

「しかし、今から戦争をしようとしているのに・・・」

「勝ったら、このデランを平和な国にするそうだ。アンダスやインダスとは違う」

「まあ、それはわかっていました。しかし、もし戦争に負けたら・・・」

「それはこちらにいても同じこと、ウンダスの元へお連れします。行きましょう。今すぐ」

カリア姫はユリトスを信用していた。だから、彼の言うことを信じた。ライドロも同じだった。

カリアはアリシアとオーリにハグして別れを惜しんだ。

そして、ふたりは馬に乗った。

ユリトスとポルトス、アラミスに守られて、カリア姫とライドロは馬を馳せた。

そして、戦場に着いた。

ユリトスは呆然としてしまった。

戦闘が始まっていたのだ。


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