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16、オークの家

森を抜けた一行を待っていたものは、荒涼とした丘陵地帯だった。植物は少なく露出した赤い土の丘が続いている。

ユリトスは言った。

「この丘陵地帯を西に抜ければガンダリアの首都に着く」

アラミスは訊いた。

「先生はこの道を知っているのですか?」

「ああ、マトニトに行く際にここを通ったばかりだ」

ポルトスは訊いた。

「先生はなぜこの地帯を旅しているのですか?」

「魔法使いを探している」

ユリトスはチラとポルトスを見て答えた。

「魔法使い?」

アリシアが言った。

「バトシアやガンダリアに魔法使いがいるんですか?」

「うむ、辺境のほうにいるかと思い、こうして探しているのだが見つからなくてな」

ユリトスは言った。

「しかし、こうして逃亡した王ふたりと会えたし、ガンダリアの都にはロンガ王カース様が潜伏しているというのだ、カース様を一向に加えたら、ドラゴニアに向かおうと思うのだ。そこには魔法使いがいるだろう」

五味は興奮して言った。

「魔法使いに会いに行くんですか?」

九頭は笑顔で言った。

「本当にRPGみたいになってきた」

「その前に」

ユリトスは言った。

「私の友人に会いに行こうと思う。この丘陵地帯をまっすぐ西へ行けば王都だが、友人の住んでいるのは少し北になる。すまんがついて来てくれ」

アリシアは言った。

「その友人というのは強い方なのですか?」

「強い?うむ、彼は戦ったことがあるかは知らないが、体格は立派な男だ。まあ、私も会うのは久しぶりだ。どう変わっているかはわからない」

「こんな荒涼とした土地にひとりで住んでいるんですか?」

「いや、彼が住んでいるのは森だ。そこはまあ、オアシスのような所で清らかな水が湧き出ている。そこに家族で住んでいるよ」

それから、五味たちは丘をいくつ越えたかわからないくらいに歩いた。一晩野宿をした。五味と九頭はその満天の星空を眺めて寝ることに贅沢な気分を味わった。そして、翌日ようやく、そのオアシスに着いた。

オアシスの中には一軒の家があった。裏には囲いがあり、牛や山羊を飼っている。

「ごめん、オークはいるか?」

ユリトスは開いたドアの前に立って言った。

すると中から、セクシーな若い女性が現れた。

五味と九頭は興奮した。

「「すげー色気!」」

「あ、俺、勃起しちゃった」

「俺も」

ユリトスは笑った。

「おお、久しぶりだな。ターニャ」

ターニャと言われた女性はユリトスにハグした。

「まあ、ユリトス様、お久しぶり」

五味と九頭はうらやましそうにユリトスを見た。

ユリトスは言った。

「オークはいますか?」

「オークなら今、息子のジョーを連れて牛に食事させるために草原に出ています」

五味は九頭に囁いた。

「息子がいるのか」

九頭は言った。

「ということは、このセクシーなお姉さんをそのオークって奴は抱いたのか?」

「うらやましいな」

やはり五味と九頭は最低である。自分たちは散々ハーレムで遊び、そこを捨てて逃げ出したことを忘れている。

ターニャは言った。

「どうぞ、みなさん、お入りください。お茶を淹れるわ」

「かたじけない」

ユリトスたちは家の中に入った。

六人はテーブルの席に着いた。椅子は丸木を割って作ったベンチになっていたので、詰めて座れば六人が座れた。

五味と九頭はお茶を用意するターニャの体をいやらしい目でジロジロ見ていた。

ターニャは紅茶を出してくれた。

五味は自分の前にターニャがカップを置いたとき、彼女の胸元を見た。

「すげー、おっぱい。いい形、いい大きさ」

九頭の前にも紅茶が出された。九頭も彼女の胸元を見た。ついでに体の匂いを嗅いだ。

「おお、なんて、エロティックな香り。許さんぞ、オーク」

ふたりともアホである。

ターニャは言った。

「お昼にはオークたちが帰って来るから、私は昼食の仕度をします。みなさんは食事は?」

ユリトスは言った。

「すまないが、馳走していただきたい。それもあてにして来た」

ターニャは笑った。

五味と九頭は思った。

「お~、笑顔がかわいい」

アリシアは言った。

「なに、ふたりとも鼻の下伸ばしてんですか?いやらしい」

しばらく、紅茶を飲んで待っているとオークが息子を連れて帰って来た。

ユリトスたちは外へ出て迎えた。

「おお、ユリトス殿。お久しぶりです」

「オーク、変わらないな」

「この子は息子のジョーです」

「ジョー君か、初めまして。私はユリトスという者だ。お父さんの友達だよ」

ジョー君は言った。

「え?お父さんにも友達がいるんだ?」

オークは笑った。

「ははは、俺はこんな田舎にいるからな。ジョーはお父さんに友達がいないと思ってたのか?」

「うん、だって、お母さん以外の人と、話しているのほとんど見たことないもん」

「町に牛を売りに行くとき話すだろ?」

「でも、それは仕事でしょ。友達じゃないよ」

「ははは、たしかにな」

ポルトスもアラミスもアリシアもこのオークという男は絶対に悪い人ではないと思った。しかし、五味と九頭は考えていることがゴミとクズで、「あの右手でターニャさんのアソコを・・・あの左手でターニャさんの・・・」などといやらしいことを連想していた。

そのターニャが家の中から言った。

「みなさーん。食事にしましょう」

オークは言った。

「さあ、家の中に入ってください。うちの女房の料理は美味いんです」

「「うちの女房」」

五味と九頭はオークとターニャが絡み合っている姿を想像した。

テーブルに着くと、ターニャの料理というのは、パンとチーズとサラダと目玉焼きとミルクだった。

五味と九頭は、「な~んだ、ホンクと変わらないじゃないか」と思った。

オークはそう思っているふたりの顔を見て笑って言った。

「まあ、昼はたいしたものは食べていない。いつもなら、ここに目玉焼きはない。今晩もうちに泊まって夕食を食べていくといいよ。ターニャ、それでいいかい?」

ターニャは笑った。

「ふふふ、九人分の料理ね?初めてだけど頑張るわ」

「それは頼もしい」

ユリトスが笑うとみんな笑った。

食事中、ユリトスは訊いた。

「ところで、オーク」

「なんです?」

「この辺りに、魔法使いが出るという噂などは知らないか?」

「魔法使いですか?知りませんねえ」

「そうか」

「魔法使いならば、ドラゴニアに行けばいるとか聞いたことがありますよ」

「うむ、それは私も知っている。ただ、例の怪事件・・・」

「三国の国王夫妻の行方不明の件ですか?」

「そうだ。あれはやっぱり魔法使いの仕業かと私は睨んでいる」

「俺もそう思います。なるほど、ユリトス殿は魔法使いがロンガかガンダリアかバトシアに侵入してきたと考えているのですか?」

「うむ、いくら強力な魔法使いでも、ドラゴニアにいながらにして、国王夫妻を(さら)ってしまえるとは思えなくてな。それを元錬金術師のおまえなら何か知っているかと思ってな」

五味と九頭は思った。

「錬金術師?RPGだ」

五味と九頭はそう思いながらチラチラとターニャの体を見ていた。

オークは言った。

「う~む、魔法使いで国王夫妻を誘拐。そうだな、もしかしたら・・・」

ユリトスは訊いた。

「なにか、心当たりはあるのか?」

「魔法使いの中には、召喚(しょうかん)という魔法を使う者がいるらしい」

「召喚?」

ユリトスは目を丸くした。

五味は思った。

「召喚魔法?RPGだ」

九頭も思った。

「やっぱ、俺たちはRPGの世界に転生したんだ」

ふたりはターニャの体を見ていた。

ユリトスは訊いた。

「召喚とはどんな魔法なんだね?」

オークは答えた。

「その場にいない者をその場に呼び出す魔法です。それが出来るのならば、国王夫妻を召喚したかもしれません」

「ということは、もしその召喚した魔法使いがドラゴニアにいるとしたら、国王夫妻たちはそこにいるかもしれないというのだな?」

「うむ、可能性としてはある。まあ、俺だって魔法というものを実際に見たわけじゃないから何とも言えないけどな」

「ありがとう、オーク、それだけで貴重な情報だ」

ユリトスはミルクを飲んだ。

「うまいミルクだな」

オークは笑った。

(しぼ)りたてだからな」


その晩、五味たち一行は納屋で寝た。五味と九頭は納屋で寝るなど初めてだった。乾草(ほしくさ)のいい匂いがした。しかし、五味と九頭は眠っていなかった。ふたりは家の中でオークとターニャが***をしているのではないかと思い、まんじりともできなかった。

「九頭、起きてるか」

「ああ、五味、おまえも気になるか?」

「気になる」

「行くか?」

「ああ」

ふたりは起き出して納屋の外に出た。

そして、家の中にこっそり入った。寝室はふたつあり、ひとつはジョーの部屋、その隣がオークとターニャの夫婦の寝室だった。

もちろん、五味と九頭は夫婦の寝室に興味があった。

「やってるかな?」

「終わったあとかな?」

「おい、壁の上に隙間がある。あそこから覗いて見よう」

ふたりは壁際に椅子を近づけてその上に立って壁の上から夫婦の寝室を覗いた。

「すげえ、ダブルベッドだ」

「毎晩、あの上でやってるんだ」

「でも、今日は寝てるみたいだぞ」

「寝息が聞こえるな」

「あ、ターニャさんが寝返りを打った」

「う~ん、シーツのすれる音がセクシーだ」

ふたりは椅子を降りて、外に出ると、野外で自らを慰めた。


翌朝、一行は起きて、また、朝食を頂いた。

「う~ん、昨夜は気持ち良かったなぁ」

五味は伸びをした。

「よく眠れた」

と九頭もすっきりした表情だった。

朝食を食べると、オークたち親子を残して一行はガンダリアの都に向かった。

五味と九頭はそこで加須に会えると思うと、なんとなく嬉しく顔がほころんだ。


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