148、アホは死んでも治らない
夕食後、また部屋で会議をした。
ユリトスは言う。
「さっき、まとめた旅の目的で、目下目的とするものは、ライドロとカリア姫の安住の地を探すことだ。私はそう思うが皆はどうだろう?」
五味は言った。
「うん、とりあえず、ドラゴンに会いに行くより、召喚師を見つけるより、ナナシスが本当の自分を見つけるより、一番初めに果たせそうな目的だ」
ライドロは感謝の言葉を述べた。
「ありがとう。みなさんありがとう」
ジイは言った。
「じゃあ、どこがいいかな?デラン王国の辺境が良いのでは?」
アラミスは言う。
「南の山岳地帯はどうだろう?」
ポルトスは言う。
「北にも山岳地帯があるぞ」
ユリトスは言う。
「ハイン王国との国境にも小さな村はある」
アラミスは言う。
「でもそこは、インダスの軍隊が封鎖しているでしょう」
「となると、北か南か・・・」
ユリトスは顎に手を当てて考えた。
五味は言った。
「じゃあ、決まりだね。北か南へ行く。オーリ、地図で調べておいてくれ。さ、寝ようか」
ポルトスは言った。
「寝るにはまだ早いだろう?もう少し、計画を詰めて行こう」
五味は言った。
「それはポルトスたちに任せるよ。俺たち国王は体が大事だから寝るよ」
五味と九頭と加須はユリトスたちの部屋から出た。ついでのチョロも出た。
そして、廊下で四人はイヒヒヒと顔を見合わせて笑った。
四人はこっそり宿を出た。
「チョロ、本当にあるのか?」
「あるよ。こんな大きな町だからな」
宿のある大通りをまっすぐ東へ歩き、左へ折れたところにそれはあった。
「あった、ここだ。チェイン・ストリップ劇場」
四人は吸い込まれるようにして劇場に入っていった。
劇場内はランプが煌々と舞台を照らしていた。
四人が入ったときには、もう踊り子が上半身裸になっていた。
五味は興奮して叫んだ。
「お、いいぞ、ナイスおっぱい!」
九頭も叫んだ。
「よっ、あとで揉ませてよ!」
加須も叫んだ。
「わお、理想のカタチのパイパイちゃん!」
チョロも叫んだ。
「結婚してくれ!」
四人は二時間以上、夢中になって叫んでいた。
そして、ショーが終わって、客が劇場からぞろぞろ出ると、出口で警察官が客をチェックしていた。
そして、五味たちに言った。
「なんだ、君たちは未成年だろう?」
五味は言い返した。
「十五歳ならば、成人だろ?国王にだってなれる世界なんだから」
「それはこの町の法律では違う。この町は二十歳が成人年齢でそれ以下の子供はこういう場所に出入りしちゃいかんのだよ。逮捕だね」
五味、九頭、加須は逮捕されてしまった。
チョロが言った。
「見逃してやってくれないか?この子らはロガバ三国の王なんだ。ここで逮捕となると国際問題になるぞ」
「なに?ロガバ三国の王だと?あのドラゴンの血の?」
「そうだよ、この三人がドラゴンの所へ行けば何でも願いが叶うんだ」
「よし、インダス様にこの三人を送り届けよう。よし、とりあえず署まで連行しろ」
こうして五味たちは逮捕された。この期に及んでまだストリップなどを観に行くアホなのだが、アホは死ななきゃ治らないから、いつまでアホなのだろう。いや、こいつらは死んでも治らなかったと言える。
チョロは青くなった。
「やべえぞ。ユリトスたちに知らせなくちゃ」




