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145、チェインの町のレストラン

ユリトスたちがレストランで今後のことを話し合っているときに、チョロが戻ってきた。

「いひひ、この町は金持ちが多いぞ。財布の中身が平均して高額だ」

ユリトスは厳しい眼でチョロを見た。

「チョロ、やめんか。やはりそれは悪行だ」

チョロは言った。

「これは俺の職業だ。世の中にはそういう職業もあるんだ」

「いや、それは違う」

ユリトスがチョロとの口論を始めようとすると、ポルトスが口を挟んだ。

「先生、今はそんなことを言っている場合ではないかもしれませんよ。俺たちの旅がここで終わってしまうかもしれない。ここまで来て、目的を達せず帰ることになるのは俺は嫌ですよ」

五味は九頭に小声で言った。

「旅の目的ってなんだっけ?」

「ドラゴンの秘宝で願いを叶えてもらうことだろ?俺たちが象徴の国王となり一生ハーレムで遊べる世界にする」

加須が言う。

「違うだろ。俺たちが前世に帰ることだろ?」

「え?そうだったか?」

加須は五味に言った。

「おまえがマルデンの夜に言ったことだぞ」

「そうだったか?うん、そんな気もする」

加須は五味に言った。

「おまえは前世という来世に行くんだ、とちょっとカッコイイこと言ったぞ」

九頭も思い出した。

「ああ、言ってた言ってた」

五味は思い出した。

「ああ、言ってたな」

そこでジイが割り込んだ。

「陛下たちは何を先ほどから小声で言ってるのですか?」

五味は言った。

「なんでもないよ」

すると、ユリトスは五味たちに言った。

「陛下たち、やはりご両親に再び会いたいだろう?」

五味は前世の両親を思い出した。

「いや、べつに」

九頭も前世の両親を思い出した。

「俺もべつに」

加須も前世の両親を思い出した。

「いえ、べつに」

ジイは言った。

「なにをおっしゃるのです?陛下たち。ドラゴニアには大きな謎がある。それは陛下たちのご両親である先代の国王夫妻が召喚されたのではないかという疑いと、ドラゴンの秘宝とは何かという謎と、ドラゴンの血の流れるあなた方が行けばドラゴンが願いを叶えてくれるという、それらのことが全部旅の目的ではありませんか。少なくともわしはそう思っておりますぞ」

五味は言った。

「ああ、そうだな。とにかく西へ行けば行くほど、謎が解けていく。また、謎が増えていく、そんな旅だよな」

ユリトスは五味たちのそれらのやりとりをもう聞いていなかった。腕を組んで頷いた。

「ハインとの国境を越えるには、内戦が勃発するのを待つしかないかもしれんな」

「え?」

「とにかく、国境に行ってみよう」


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