129、カリアとライドロの再会
第三王子ウンダスは百騎の兵を連れて、エコトスの先導により、北の森に向かっていた。エコトスの前には案内役のカラスが飛んでいる。
エコトスはまだ考えていた。
「俺はいったい、こんな第三王子を連れて行ってどうしようというのだろう?アトリフの命令と違うことをやっているような。いや、やってる。間違いなく、俺はアトリフの命令に背いている。いや、背いちゃいないが、やってることがズレている。これは出前注文でピザを頼んだお客様にパスタを届けるみたいにズレている。ああ、俺、アトリフに叱られる。あーどうしよ」
いっぽう、ダラントの村ではユリトスたちとアトリフたちが再会していた。これはカリアとライドロの再会でもあった。ふたりは抱き合って喜んだ。
「カリア、よかった。会えた」
「ライドロ、危ない目に会わなかった?」
「僕は君に会いにデランの王都へ行こうと思ったけど、怖くて森の中の小屋で時間を潰していたんだ。そしたら、デボイ伯爵という人と、このモロスという人が来て、一緒にデランの王都へ行こうと誘ってくれたんだ。そして、デランの王都で君がアトリフという人たちについて北の森に行ったと聞いた。だから、こうして彼らについてここへ来た。そしたら、本当に君がここにいた」
「私もあなたと会える日を信じていました」
そんなふたりの再会を見守っているアトリフの所にカラスが一羽来た。
ラミナの周りでギャアギャアと鳴いた。
ラミナはアトリフに言った。
「ヒュンダスの第三王子がこちらに向かっています」
アトリフはラミナを見た。
「なに?第三王子?」
「それからデボイ伯爵とハリミア王妃は死んだそうです」
モロスが反応した。
「なに?今、なんて言っただ?」
「デボイ伯爵とハリミア王妃はヒュンダスに殺されました」
アトリフは訊いた。
「ヒュンダスは城を動かないのだな?」
「そのようです」
アトリフは言った。
「それならば、こちらから出向くしかあるまい」
ユリトスは訊いた。
「城に行くのか?」
「そうだ。おまえたちはどうする?」
「我々もデランに戻る。ナナシスが心配だ」
「カリアとライドロはどうする?俺たちはヒュンダスの所へ行くから連れては行けない」
「我々が預かろう。ナナシスを見つけ次第、西へ旅立つ」
ユリトスがそう言うと森の中から声が聞こえた。
「そうはいくか」
一同がそちらを見ると、名声王レイド―とその側近バルバがいた。




