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1162/1174

1162、怒りの勇者

その頃、ワシレスが戦う低脳なドラゴンの数は残りわずかとなっていた。

ネランはすでに真空の剣を持ち、ネズトスを見ている。

炎上する大樹の前ではゼランに対して、アラミス、ザザック、そして、九頭が戦っている。ただし、九頭は攻撃を控えていた。

ザザックは言う。

「九頭、どけ、攻撃をしないなら邪魔だ」

アラミスは言う。

「そうだ、義理で戦ってくれても、足手まといだ」

九頭は退いた。

ザザックは笑う。

「しかし、あの臆病者が、自分から魔王相手の戦いに参加するとは、変わったな」

九頭は言う。

「聖剣を持っているからだろう。この剣は俺を剣士にしてくれる」

ザザックは言う。

「いや、おまえの中の勇気は成長した」

「おい、よそ見はするな」

ゼランの一撃がザザックの腹に刺さった。

「ぐっ」

ゼランは剣の腕を引き抜いて言う。

「魔王と戦うときにお喋りはするな」

アラミスがそう言うゼランに攻撃をした。ゼランはそれを受け止めた。

アラミスは言う。

「ザザック、オーリに回復魔法をかけてもらえ。オーリ、ザザックに回復魔法だ!」

オーリはザザックに近づこうとしたが、そこはアラミスとゼランが剣を交えるすぐそばでなかなか近寄れなかった。

アラミスは言う。

「九頭、オーリを守れ。ザザックに回復魔法ができるように」

「わかった」

九頭はオーリの近くに行き、ふたりでザザックのほうに近寄った。九頭はゼランの側に向いてその背後にオーリが隠れてザザックに近寄った。

オーリはしゃがんでザザックに回復魔法をかけた。

腹の傷に手をかざすと緑の光が現れ、傷を癒やした。

ゼランは言う。

「なるほど、その太った小娘が回復魔法を使えるのだな。それならば、まずその小娘から殺してやろう」

ゼランはアラミスと剣を交えながら、ザザックに回復魔法を施すオーリに近寄った。当然その前には九頭がいる。

九頭は寂滅の剣を構えた。

「こっちに来るな、ゼラン!」

ゼランは笑う。

「ふん、臆病者が!」

「なにをっ?」

「おまえは敵を斬れない臆病者だ」

「違う。斬れないんじゃない。斬らないんだ」

「同じことだ。人を殺すとは、この人生でひとつ罪を犯すことだ」

アラミスは言う。

「なんだ、罪だと知ってるじゃないか」

ゼランは言う。

「そして、殺すとは人生でその死を引き受け新たな道を選択する行為だ。殺した者は生き返らない。その命の上に自分の人生があると感じることだ」

九頭は言う。

「おまえは人を殺すと、充実感でもあると言うのか?」

ゼランは笑う。

「そうだ。人を殺すのはその命の上に生きること。そこに生きている充実感がある。どれだけの犠牲の上に自分の人生があると思うと、自分の命がそれだけ価値が高いと思えてなんとも言えない幸せな気分になるのだ」

「最低だな」

九頭がそう言う背後では、オーリがザザックに回復魔法をかけている。

オーリは疲れていた。先ほどからポルトスに回復魔法をかけ続けていて魔法力が底をつき始めていた。魔法のエネルギー源は無限ではない。魔法を使うと体力が奪われる。彼女はもう体力を失いかけていた。

ゼランはアラミスをはねのけて、九頭に襲いかかった。

九頭はその攻撃を受け止めた。

しかし、彼の寂滅の剣は弾かれて、地面に落ちた。

そして、九頭はゼランの剣をまともに受けて袈裟斬りにされた。

「ぐあっ!」

九頭は倒れた。

オーリは九頭を見た。倒れた九頭の体から白い大地に赤い血が流れた。

「九頭!」

オーリは九頭に回復魔法をかけようと思った。

しかし、ゼランの一太刀がオーリを襲った。

オーリも袈裟斬りにされ、九頭の横に倒れた。

「く、九頭」

オーリは九頭の手を握った。

ゼランはそのまま近くにいたザザックも斬ろうとした。

その時だった。

ゼランの近くから強力な緑色の聖なる光が放たれた。

ゼランはそちらを見た。

光っているのは九頭の全身だった。

「な、なに?バカな?なんだ?この聖なる光は?こいつは聖剣を持っていないぞ」

九頭はオーリの手を握り返した。

「オーリ、ありがとう。残り少ない魔法力で俺を回復させようとするなんて、おまえは優しい奴だ」

オーリの体も緑色の聖なる光に包まれた。

オーリの傷は塞がった。

それを見たゼランは驚いた。

「バ、バカな。こんな回復魔法があるか?」

九頭は寂滅の剣を持って立ち上がった。

ゼランは九頭を恐れ後退した。

ゼランの後ろにはアラミスが呆然として立っていた。

ゼランは数歩下がって、アラミスの存在に気づき立ち止まった。

九頭が寂滅の剣を振り上げる。

「ゼラン、俺はおまえを許さない」

九頭は前に出た。

ゼランは言う。

「き、貴様、何者だ?」

すると鳥居の奥からレセンの声が聞こえた。

「怒りの勇者だ」

ゼランは冷や汗をかいた。

「怒りの?・・・太古の昔、魔王を切り裂いた、あの勇者か・・・」

九頭はゼランの目の前に立ち、寂滅の剣を振り上げた。

ゼランは悲鳴をあげた。

「や、やめてくれー」

九頭は聖剣・寂滅の剣をゼランの上に振り下ろそうとした。

しかし、剣は振り下ろされなかった。


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