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1155/1174

1155、ゼラン対加須

ゼランは頭を抱えた。

「や、やめろ、その忌まわしい歌を!」

加須は歌う。

「宇宙に届け、この歌~。すべてを~、感動させるために~、俺は歌うよ~。歌は戦いのためではなく~、平和のためにあるのさ~」

ゼランは言う。

「貴様、丸腰のくせに、歌だけで俺に勝てると思うのか?」

加須は歌で返した。

「必ず、歌は~、勝つ~」

「く、情熱の勇者か・・・だが」

ゼランは加須たちのいる側に鳥居を回り込んだ。

「おまえにはもうパートナーの小娘がいない。従って、歌の力は落ちている。俺はおまえの歌に勝てる」

加須は言う。

「歌は~、殺し合いの~、武器では~、ない~」

加須の前に、ポルトスが立った。

ゼランは笑った。

「ふん、凡人が」

ポルトスは言う。

「何度も言わせるな。俺は凡人ではない。三銃士だ」

「くだらん」

すると、加須が歌った。

「ポルトス~、どいてくれ~、これは俺と~、ゼランの戦い~」

ポルトスはハッと加須を見た。

加須は神々しく聖なる緑の光に包まれていた。

五味と九頭は驚いた。

「「聖剣を持ってないのに、なぜ光るんだ?」」

加須は歌いながら、ゼランに近づいていった。

ゼランは狼狽えた。

「く、来るな!その瞳をやめろ!無相の瞳を!俺を哀れむような眼で見るな!」

加須は歌いながら、ゼランの目の前に立った。

「魔王よ~、斬れるものなら~、斬ってみろ~、おまえが~、俺を斬るのは~、おまえの~、お母さんの歌を斬ること~」

「う、うるさい!」

ゼランは加須を袈裟斬りにした。

加須は血を噴き出した。

しかし、加須は立ったまま歌を歌い続けた。

ラレンは呟いた。

「か、神か・・・?」

加須は血を吐きながら歌った。

ゼランは加須を斬って斬って斬りまくった。

しかし、加須は倒れず、歌を歌い続けた。

斬りながらゼランは泣いた。

「いい加減に死んでくれ。母さんみたいに歌わないでくれ!」

ゼランは真空の剣を加須の心臓に突き立てた。

そして引き抜くと、加須の胸から血しぶきが上がりようやく、加須は地面に倒れた。

それでも加須は歌っていた。

ゼランはさらに加須に突き立てようと剣を逆手に持ち替えた。

そのとき、脇を刺した者がふたりあった。アラミスとザザックである。

ザザックは言う。

「いい加減にしろ、魔王。おまえの負けだ。勝ったのは加須だ」


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