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1151/1174

1151、鳥居のからくり

アラミスとザザックが鳥居の裏側に回り込むと、そこには剣で戦う九頭とゼランの姿があった。

アラミスはゼランの背中側に出て、ザザックは、九頭の背後、ネズトスの後ろに立っていた。

それを見たゼランは言う。

「この小僧は剣で戦いながらも、守るばかりで攻撃をしてこない。バカなのか?」

すると、アラミスの背後に現れた五味が言う。

「九頭、おまえ、ゼランに攻撃をしていないのか?」

九頭はゼランから間合いを取って言う。

「ああ、俺たちは日本人だ。戦争はしない。そうだろう?五味?」

九頭は体中に浅い切り傷があるも笑顔だった。

五味は表情が緩んだ。

「九頭・・・」

ゼランは囲まれて不利を悟ったのか、再び鳥居の中へ裏側から入った。

ゼランが入ったのは、元のガランのいる月だ。そこからは鳥居の中にアリシアを抱いて泣く加須とそれを囲むオーリ、ラーニャ、ジイ、ラレンがいて、蹲るガランが見え、九頭たちは見えなかった。

そのガランの見える鳥居の中から、アラミスとザザックが現れゼランを襲った。

ゼランはアラミスの剣を防いだが、ザザックの剣が腹をかすめた。

ゼランは後ろに飛び下がった。

「なるほど、この鳥居のからくりがわかったぞ」

ゼランは鳥居の向こうの離れた場所にいるガランに言った。

「おい、ガラン、おまえも戦え。母さんに会いたいのだろう?」

ガランは言う。

「会いたい。しかし、俺にはもう願いを言う権利があり、その内容は決まっている」

ゼランは言う。

「なんだ?」

「全てを手に入れることさ」

「母さんではないのか?」

「それは兄者の願いだ」

「なに?それは俺たちふたりの願いのはずだ。母さんに相談し、もうひとつの願いを決めてもらう」

「兄者、俺は全てが手に入るということだけを目標にやってきた。もうその願いは変えられない。兄者には兄者の願いを叶えてもらってくれ」

ゼランは言う。

「俺はおまえに全てを手に入れられると困るのだが・・・半分ならばいい。人間の世界を俺が支配し、ドラゴンの世界をおまえが支配する」

「そんなら母さんに相談しなくてもいいだろう?しかし、俺は全てを望む」

ゼランは考え込んだ。

そのときザザックが言った。

「おい、ゼラン。こっちは剣を構えてるんだ。さっさとカタをつけようじゃないか」

ゼランはザザックを睨んだ。

「この低級な人間が!」


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