1142、残り二本の聖剣
ラレンはドラゴンたちと戦いながら五味に言った。
「五味、説得するなら、とりあえず、この低脳なドラゴンたちを鎮めるように言ってくれ。無理だとは思うが」
五味はそれを聞いて、ガランに言ってみた。
「このドラゴンたちを鎮めることはできるか?」
「鎮めることはできる。だが、俺がこいつらを鎮めるわけがないだろう?おまえらを殺して聖剣を奪うことが目的なのだからな」
「おまえは一本聖剣を持っているじゃないか?寂滅の剣を」
「三本欲しいのだよ」
「欲張りが!」
「一本は兄者にやる。そして、もう一本はふたりの願いを叶える。母さんに会うという願いだ」
「マザコンか?」
「母さんは、俺たちの父、魔王でありドラゴンの王である父と結婚した女傑だ。また会えれば何かいい知恵を貸してくれるはずだ」
そのとき、ドラゴンたちと戦っているザザックが言った。
「五味、九頭、どちらでもいい。ガランを斬れ。そいつは喋りながら自らの傷を癒やしているぞ!」
九頭は五味の前に出た。
「やっぱり、剣は戦うためにある。五味、俺は戦うぜ」
五味は言う。
「それはあいつを斬るということか?そういう意味ならやめておけ。あいつは心臓がいくつか潰れている。そして、寂滅の剣の聖なる光で体力も奪われている。そんな弱った相手に剣で挑むのは卑怯だし、そもそも剣で戦うこと自体がよくないことだ」
「でも、あいつらは俺たちを殺そうとしているんだぜ?」
「殺そうとする相手ならば殺していいのか?」
「じゃあ、どうすればいいんだよ?」
五味は言う。
「俺たちは聖剣を二本持っている。この剣であのドラゴンの卵を斬ればいいんだ。そうすれば願いを言う権利は俺とおまえになるじゃないか」
「じゃあ、俺たちの目的は、あのふたりの魔王を倒すことじゃなく、あの卵に傷をふたつ入れることか?」
「そういうことだ」




