1114、光の階段を登るラレン、そして、ザザック
ラレンは光の階段を登りながら前を行く五味たちを見て思った。
「俺はなぜこいつらと共にこんな階段を登っているのだろう?あいつらは元々赤の他人じゃないか。いや、人間はみんな初めは赤の他人だ。それにしても、俺はあいつらを今、仲間だと感じている。あいつらを騙そうとか、そのようなことはまったく思っていない。むしろ、奴らの転生予約と願いを叶えるところを見てみたい。世界平和の願い?いったい、世界はどうなるのだろう?ラミナは死んだぞ。アトリフ。おまえの妹というか育てた娘は死んだ。俺が守れなかったんだ。すまん。しかし、婚約者のクリスティーナは姉のラティーナのところに届けた。まだ生きているはずだ。まあ、その息子のリュシンは死んじまった。ああ、この旅では人が死にすぎる。俺も死ぬかもしれない。五味、九頭、加須も死ぬらしい。死、死、死。死ばかりだ」
ザザックは光の階段を最後尾で登りながら考えた。
「俺はこの階段を登って何をしようとしている?そうだ、俺は世界一の剣豪になりたかったんだ。しかし、今、俺が一番関心のあるのは、魔王と戦うことだ。これは自分が最強になりたいからではなく、世界を救いたいからだ。なんだ、それは?俺は救世主か?いや、救世主は五味たちだ。いや、しかし・・・俺は戦ってきた。五味たちなどまったく殺さない。ユリトスもそうだった。あいつは力がありながらセーブしていたしゃらくさい奴だ。バトシア十勇士のサガンから、殺すのではなく斬るのだと教わったが、はたして本当にそれが正しいのかわからない。剣技の心構えとしては正しいだろうが、倫理としては・・・ふっ、俺も奴らに感化されてきたか?」




