1109、現れた光の階段
五味たちは月の神殿に戻ってきた。
五味と九頭と加須が聖剣を持って一同と共に神殿に入ると、三本の聖剣は激しく光を放ち、円形の神殿は緑色の光に包まれた。
そして、神殿の南側から空中に光の階段が現れた。
それは夜空に南中した満月に真っ直ぐ向かって伸びていた。
ジイは言う。
「ほー、これは見事じゃな」
九頭は言う。
「しかし、本当に月まで登っていくのかな?」
「とにかく行くしかないだろう」
五味はそう言って空中にできた光の階段の一段目に足を乗せた。見た感じでは空気を踏んでいるようだが、しっかりと、階段の感触は足の裏にあった。五味は階段を登り始めた。
その階段は輪郭線だけ光でできていて、まるで透き通った空気の階段だった。
加須も登り始めた。
「ひえ~、落ちないかな?」
九頭も登り始めた。そして、振り返って言った。
「オーリ、みんな、何をやってるんだ。登るぞ」
オーリは「え、ええ」と言って光の階段を登り始めた。
ラーニャもアリシアも登り始めた。
「まるで夢みたいね」
「おとぎの国みたい」
ジイも登り始めた。
「これは落ちぬか心配じゃわい」
ポルトスも登り始めた。
「この先にレセンがいるのか?」
ラレンも登り始めた。
「マジで月に行くのかよ。面白え」
ザザックはひとり、階段下に残った。
それを見たラレンは言った。
「おい、ザザック、おまえは来ないのか?」
「俺はここで追っ手を斬る」
ラレンは言う。
「ドラゴンたちが飛んできて五味たちを襲ったらどうなるんだよ。そんな階段の一番下に陣取るのは賢明とは思えないぜ」
ザザックは首を捻った。
「う、うむ。たしかに」
ザザックも結局登り始めた。
海中に突き出した半島にある神殿から、満月に向かって真っ直ぐ伸びる光の階段は町の者が見ると幻想そのものだった。人々は夢を見ているのかと目を擦った。
五味たちは空中の階段を登っていく。
下には家々の灯火と紫の炎で燃える町が輝いて見えた。町の者は消火活動をしながらも、この月への階段が現れた伝説の実現を吉兆と思って喜んだ。
「聖剣士がこの町を救ってくれる!」
五味と九頭と加須は背中に聖剣を背負っていた。それらは緑の光で輝いていた。
最後尾を登るザザックの肥沃の剣も緑色に光っていた。




