表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天と地の最果てには  作者: 桜橋あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/17

第4話 神殿に突入、それから

4人は神殿の中へ入っていった。

中は結構広く、そこに大きな神像が立っていた。


「……あれが、エルゼルガ神の神像ね」

チアがそう言う。


(至って普通で、特に違和感は無いが)

ベルゼーラはそう思っていた。


ある程度近づいた瞬間、鈍い音をしながら神像が動き出した。


「……チア、アシラ!下がれ!」


ベルゼーラに言われ、二人は入り口まで下がる。


そして、鞘から剣を取り出す。


「メイリー、手助け頼む」

メイリーは頷き、短剣を2つ出して臨戦態勢を取った。


神像は、ベルゼーラとメイリーに殴りかかる。

二人はその攻撃を避ける。


「……くそ、どうすれば」

唐突の事なので、ベルゼーラは対策を必死に考える。

この動いた事が、多分均衡が崩れた因果関係だと思うのだが……


▫▫▫


(……あれ、もしかして)


神像の真横に避けたメイリーは、ある『印』に気がついた。

それは 《禁忌ノ押印(メージェーラ)》と呼ばれる印。


かつて、ヴェルシア解放隊が石像等を動かせて攻撃する為に作った印だ。


(少しでも印の部分を削ったら、能力は失われるはずだったわ)


でも、一人だけだったら上手く近づいても削れない。

それだったら……


「ベルゼーラさん、神像を引き付けてください!」


それを聞いたベルゼーラは、眉をひそめた。

「どういう事だ?」


「神像は、ヴェルシア解放隊により意図して動かされています。その印が腕に刻まれていて、それを削れば止まりますから!」


その言葉で察したベルゼーラは「頼んだ」と言わんばかりに、頷いた。


神像が再び、ベルゼーラに殴りかかる。

その隙に、疾風の如くメイリーは神像に近づいた。


殴りにかかった腕が地面に叩きつけた時、メイリーは飛び上がって腕にしがみついた。


右手側の短剣で、印が刻まれているところを勢いよく当てていく。

石が割れる甲高い音が鳴り響き、その箇所が削れた。


そのままの体勢で、神像は動きを止めた。

薄くなっていた空気が、元に戻った。


こうして、エルゼルガ王国の異変は収まったのだ。


▪▪▪


「メイリーが居てくれて良かった」

事が終わった後、ベルゼーラはメイリーに言った。


「ベルゼーラさんが引き付けてくれたお陰です。私だけでしたら、近付く事しか出来ませんでしたから」

そうメイリーが返す。


そして、改めて動きを止めた神像を見た。

左腕に、メイリーが言っていた《禁忌ノ押印(メージェーラ)》が刻まれていた。


「ヴェルシア解放隊が関わっているのなら、他の国も同じような事が起きるのか……いや、もしかしたら起きているかもしれん。首都に戻ったら、メルシェ女王に他の国に行く事を電報を打とう」

ベルゼーラがそう言うと、3人は頷いた。


そして、4人は神殿を出た。


▫▫▫


「ああ、やはりあそこで奴を暗殺出来なかった事が駄目だったな。まあいい、計画は順調に進んでいると本部から聞いている。あと、メイリーが奴側と合流した。あの印を見破られたから、万が一も考えてメイリーも暗殺の対象をワンランク上げよう。たく、どうして育ててくれた父上に反抗心を持ったのか……」


▫▫▫


「ねえ、メイリーさん」

下山途中、チアはメイリーに話しかける。


「どうしたの、チアちゃん」


「メイリーさんって、どうしてヴェルシア解放隊に入ったの?」


それを聞いた瞬間、メイリーは悲しい顔をした。


「ごめんなさい、聞いちゃいけない事だったのかな」


チアはそう言うと、メイリーは首を横に振った。

「大丈夫よ。あのね、私……本当の両親は知らないのよ」


「えっ……知らない?」


「聞いた話しだけどね……両親が貧乏で私を育てられないって、解放隊のトップである、ボエルジーに預けたって聞いたの」


ボエルジー・ニザン、ヴェルシア解放隊のトップであり、育ての親であった。


彼に預けられたその頃は、まだヴェルシア解放隊は結成されていなかった。

それでメイリーが6歳の時に結成され、メイリーは次期解放隊の隊長としての資質を見込まれたのか……入隊を強制的にさせられたのだ。


「さっきも言ったけどね、私はあの反乱は国民の為にはなってないと思って、離れようと思ったのよ」

そう、メイリーは付け加えた。


「身体能力が高いのは、そういう事?」

チアが聞くと、メイリーは頷いた。


その話を聞いたチアは、自分から親が居ないことをメイリーに告げた。

―――反乱の事や、現在の事も含めて。


「……そうなの。だからベルゼーラさんの所に住んでいるのね」

メイリーは静かにそう言う。


「なんか、私とメイリーさんって似た境地ですね」

そうチアが言う。


(解放隊(あいつら)が犯した罪は、本当に重たいのかもしれない)


「メイリーさん、大丈夫?」


チアの声で、メイリーは我に返る。


「大丈夫よ。……ごめんね、反乱のせいでお父さんが……」

メイリーは言葉に詰まる。


「何を言っているの?メイリーさんは自分の意思で、反乱軍を辞めたんでしょ?それに、私を助けてくれた恩人だから……ね?」


チアはそう言って、笑顔を見せた。


(……ああ、私が解放隊(あそこ)を抜けたのは、本当に良かったのかもしれない)


その言葉を聞いたメイリーは、そう思った。


そうこうしている内に、山の麓にある街が見えてきた。


「もう少しだ。頑張ろうな、皆」

ベルゼーラがそう言うと、3人は頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 見てるぞ……(; ・`д・´)…… 誰かが見てるぞ……(; ・`д・´)…… 誰だ……(; ・`д・´) [気になる点] 戦闘シーンカコヨスなところ(気になる点じゃない) [一言] 物語の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ