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プロローグ 二人は出会う

「……ここか、ベルゼーラさんの喫茶店」

そう、チアは呟いた。


▪▪▪


チアは孤児院に住んでいたが、15歳になると孤児院を出る決まりがあった為、職と住が出来そうな仕事場を探していた。


その時、喫茶店の住み込みアルバイトの募集をしていると、孤児院のお手伝いさんが言っていたので手紙を出した。


翌日、手紙の返事が来た。

『それでは、明後日。うちへ来てください』と書かれていた。


……それで、今日。

街外れにある、喫茶店に来たのだ。


▪▪▪


「あら?もしかして、手紙をくださった子?」

ふと、後ろから声が聞こえた。


チアは振り返ると、そこには女性が居た。


「あ、はい。その……」


「ああ、私はすぐ近くに住んでいるコヨモと申しますわ。彼の喫茶店がある、ここの地主をしている身なのです。……もうすぐ、彼は畑から戻ってくるだろうから」


コヨモさんがそう言うと、近くの林の奥から男性がやって来た。

畑を耕す道具を手にしている。


「……おや、お客さんかな」

その男性がそう言う。


「手紙を出した子よ、ベルゼーラさん」

コヨモさんが横から言う。


「ああ、わかりました。それでは、中へどうぞ」


▪▪▪


喫茶店の中に入った。

カウンター席や、向かい席など中々広い店内だとチアは思った。


向かい席に案内された。


「それでは、話を聞こうか」

そう、ベルゼーラが言う。


「……は、はい。その、ここで働かせてください!住み込みで!」


ベルゼーラは少し考えたのち

「じゃあ、任せよう」と言った。


「え、良いんですか?」

チアがそう言うと、ベルゼーラは頷いた。


「ああ。元はさっきのコヨモさんの娘さんが、お手伝いで働いて居たんだがな。学校の関係で街中の方に出ると言ったんだ。それで人を募集していて、ちょうどお前さんから手紙を貰ったんだ」


▪▪▪


一度孤児院に戻り、荷物をまとめて改めて来ることにした。


「では、気を付けてな」

ベルゼーラはそう言った。


「はい」

チアは喫茶店を後にした。


(しかし、あの子……)

ベルゼーラは1つ気になることがある。


チアの姓の事だ。

ベルゼーラがまだ国家剣士(ネルシェガー)だった頃の、かつての反乱軍の戦争で殉職した戦地医術師(ロイトジェン)の姓を思い出したのだ。


(まあ、いずれ分かることか)


焦るような事ではない。今はあの子と過ごす事を考えよう。


▫▫▫


「なんか、意外とすぐ決まったな」

孤児院に戻る途中、チアはそう呟いた。


(………でも、何だろう。ベルゼーラさんに会うのって、初めてじゃ無いかも)


遠い昔――反乱軍の戦争があったとき――に、剣士の姿を見たことがある。

その時、随分偉い立場の人だろうっていう剣士が、ベルゼーラさんに似ていた。


(まあ、気のせいなのかもね)


とにかく、ベルゼーラさんのところで働くんだ。

しっかりとやらなきゃいけないよね。


▪▪▪


二人の生活は始まったが、まさかの事態に巻き込まれるとは思ってもいなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サラッと始まりましたね( ̄▽ ̄) 桜橋さまカラー全開でε-(´∀`*)ホッとしました 読み易い(ノД`)・゜・。 ほんまうれしい(ノД`)・゜・。 [気になる点] 設定集にもありましたが…
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