『放課後の教室』
夢を見た。
夢の中の私は、橙色に包まれた教室の中で、椅子に座っている。
恐らく、現在は放課後であろう。
私の横には、男子生徒らしき人物が座っている。
彼が誰かは知らないが、夢の中の私は、どうやら彼に恋をしているようであった。
だが、私が彼の顔を見ようとしても、逆光に阻まれ、彼の顔を拝むことは出来ない。
それでも私は、彼と二人きりという空間に酔いしれており、顔が見れなくとも、それで満足してしまっていた。
静かな時が、ただただ流れ去って行く。
無言だが、彼が熱の籠った瞳で、真っ直ぐとは言わなくとも、私を横目で見詰めてていることは、私には分かっていた。
確信はないのだが、どうやら、彼も私のことが気になっているようだ。
彼と私の関係は分からない。
だが、良い関係ではあるのだろう。
私は元々ない勇気を振り絞り、彼の手に自分の手を重ねた。
彼の温もりと、私の温もりが混じり合う。
そこで目が覚めてしまった。
少しだが、寂しさが私を襲う。
それを振り払おうと、鏡を覗くと、私の頬は紅く色づいていた。
どうやら私は、本当に恋をしてしまったのかもしれない。
顔も声も知らぬ、記憶すらない夢の彼に。